日本消化器内視鏡学会雑誌
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21 巻, 7 号
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  • 神津 照雄
    1979 年 21 巻 7 号 p. 791-809
    発行日: 1979/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道癌の口側浸潤の境界を術前に診断することは照射範囲の決定,切除線の決定に重要である.食道癌の口側病変を内視鏡所見から小隆起,皺襞様隆起,びらん,その他を平坦性病変と分類し,これらの病変部の病理組織学的検討をおこない,悪性口側病変の内視鏡像を明らかにした.更に口側浸潤診断の補助診断法として,メチレンブルー,トルイジンブルー,ルゴール氏液をもちいた色素剤撒布法,新たに考案した拡大食道鏡FES-ML(25倍率)による拡大観察,粘膜下癌浸潤診断に有棘針をもちいた穿刺細胞診を検討した.色素剤撒布法では病変部の詳細な観察および境界の明瞭化に有効であった.拡大食道鏡による観察は正常毛細血管網の消失や乱れから癌露出部,上皮下癌浸潤の診断に有効であり,びらん,小隆起の鑑別にも有効であった.有棘針による細胞診は病変部への狙撃性が高く,採取される細胞集団も多く,粘膜下癌浸潤の診断に有効であった.
  • 久野 信義, 春日井 達造, 小栗 剛, 松浦 昭, 藤原 勝彦, 栗本 組子, 杉原 康弘
    1979 年 21 巻 7 号 p. 811-818
    発行日: 1979/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ERCPの合併症の中で最も重篤なものは,胆道感染であろう.私どもでは幸い未だ致死例は認めていないが,外科的処置に委ねた1例を経験している.今回は胆道系が造影されたものに就き,造影剤に抗菌性化学療法剤(Thiamphenico1)を混入するようになる前と後との例で,自覚症状,異常検査所見の発現の差を検討した.造影剤に化学療法剤を混入するようになってからの方が,明らかにその頻度は低かった.ことに上に述べたような重篤な例は1例も認められなかった.またERCP後の胆道感染の防止には,その他に器具の消毒滅菌が必要なこと,胆管狭窄部の下流までの造影に止めること,若し上流まで造影され感染の恐れがある時は直ちに外科的処置をとること,閉塞性黄疽例ではERCP実施前に減黄処置をとっておくことなどが大切であることを述べた.
  • 井戸 健一, 吉田 行雄, 関 秀一, 山中 桓夫, 酒井 秀朗, 木村 健
    1979 年 21 巻 7 号 p. 819-827
    発行日: 1979/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    理学的に明らかな黄疸の認められた肝内胆汁うっ滞30例を対象に,拡大腹腔鏡による肝表面の胆汁うっ滞所見について原疾患別に組織所見と対比検討して以下の事項が明らかにされた. 1)拡大腹腔鏡で観察される胆汁うっ滞の緑色斑の濃さと,その大きさは組織所見の小葉内の胆栓の大きさと範囲によく一致していた. 2)拡大腹腔鏡による胆汁うっ滞は血清総ビリルビン値3mg/dl以上で認められた. 3)軽度の胆汁うっ滞は,拡大腹腔鏡により赤茶色味を帯びた緑色斑として認められた. 4)赤茶色味を帯びた緑色斑は組織学的に胆栓は認めないが,胆汁色素沈着は認められた. 5)原疾患による明らかな所見の差違はなかったが,急性B型肝炎で炎症による肝被膜の混濁の影響と思われるくすんだ緑色を生ずることが多い印象であった. 6)以上のことから肝内胆汁うっ滞の拡大腹腔鏡の解析能は,組織学的な解析能と同等であることが明らかにされた.
  • 関谷 千尋, 沼崎 彰, 矢崎 康幸, 高橋 篤, 梶 巌, 並木 正義
    1979 年 21 巻 7 号 p. 828-835
    発行日: 1979/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは腹腔鏡の診断能をより高め,肝の細かな病態を把握しようと新しく高倍率拡大腹腔鏡(100倍)を試作した.今回はまずそれを用い,ラット正常肝と四塩化炭素によるラット硬変肝についてその価値を検討してみた.このスコープによると,門脈末端枝の状態や,血液がその門脈枝より小葉内に入るところ,さらに肝細胞索の状態がよく観察でき,またそれをカラー写真におさめることができる.肝が硬変化するにつれ,門脈末端枝が肝表面に多くみられるようになるが,その多くは狭窄や中断レていたり,伸展されていた.さらに小葉内では,放射状にonecell-platesに配列していた肝細胞索は乱れはじめ,厚いcell-platesになっていた.同時に類洞も著しく減少し血流状態の悪化がみられた.以上のように,われわれが試作した高倍率のスコープは肝の細かな病態を解明するうえに有用であり,臨床面への応用も十分期待できるものと思う.(第2報として臨床の実際への応用について報告する.)
  • 多田 正大, 鹿嶽 研, 福本 圭志, 中島 正継, 光吉 靖夫, 竹林 政史, 山口 希, 池内 秀夫, 下野 道広, 赤坂 裕三, 川井 ...
    1979 年 21 巻 7 号 p. 836-851
    発行日: 1979/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     消化管内視鏡検査法の申にあって,小腸内視鏡検査法は著しく立遅れていることは否めない.現在までに小腸内視鏡器械としてpush式,rope-way式およびsonde式の3方式の小腸fiberscopeが開発されている. 著者らは最近6年間に73例に対してsonde式小腸fiberscope(SSIF)を用いて内視鏡検査を試みたが,ことにscopeの蛇管部をより柔軟に改良することによって,その挿入性は著しく向上がみられ,TypeIIIとTypeIVを用いた検査では,深部小腸への挿入は44~46%に可能で,その所要時間も74~89分間と短縮することができた.本器種による検査では被験者に与える苦痛が少ないことが特徴であるが,その反面,アングル機構や生検機構は犠牲になっている.そこでscopeの先端部にカブを取り付けたり,吸引装置によって腸液を採取することによって,これらの欠点を補おうと努めている. ともあれ,現段階ではpush式,rope-way式およびsonde式の3方式の小腸fiberscopeのいずれの器種も完壁なものであるとは言い難く,病変の性状や発生部位に応じて,これらの器種を使い分けるべきであろう.ことにSSIFはpush式小腸fiberscopeの到達しえない場所に発生した狭窄を呈する小腸病変や,小腸からの出血が疑われ重篤な状態に陥った患者の出血源の検索のためには適応があると考えられる.
  • 一複数部位の同時内圧測定一
    藤田 潔, 浜田 義之, 小田原 満, 渡辺 正俊, 青山 栄, 針間 喬, 犬童 伸行, 竹本 忠良
    1979 年 21 巻 7 号 p. 852-857
    発行日: 1979/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     現代社会の複雑化にともなって,大腸の機能的疾患も増加する傾向を示している.ところが,人においては,深部大腸を含む,大腸の運動機能は,その構造上の問題から,今だ十分解明されているとはいえない. そこで,今回われわれは,大腸内視鏡を用いた.全大腸の内圧測定法を考案したので報告する.この方法は2channel処置用大腸内視鏡および,2channe1用スラィディングチューブを用いることにより,深部大腸を含む任意の部位にポリエチレンチューブを留置し,Open-tipped Methodで複数部位の同時内圧測定を行おうとするものである. この方法の問題点は,測定の直前に大腸内視鏡を用いること,またそのための前処置を行うことにより完全に生理的状態にあるとはいえない大腸の内圧測定を行っている点であろう.しかし,このような問題があるにしても,今までには,同一条件下での深部大腸を含む複数部位の同時内圧測定は行われておらず,症例を重ね検討することにより,大腸運動機能の解明に十分有効な手段となり得ると考える.
  • ―自験例と本邦報告例の検討―
    山本 富一, REINALDO TAKEJIMA, 立石 博之, 西村 幸隆, 渡辺 幹雄, 右京 成夫, 内野 治人, 戸部 隆吉, 石井 ...
    1979 年 21 巻 7 号 p. 858-865
    発行日: 1979/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     52歳女性で胃角部に発生した胃リンパ管腫の一例を報告した.更に自験例を含めた,本邦例27例について文献的に検討を加え,特に胃嚢腫としての本症の術前診断が,可能なりや否や考察を加えた. 本邦例の平均年齢は51歳,50歳以上が59.3%を占め,男女比は17:10で男性に多い.主訴では上腹部不定愁訴が10例(37%)で最も多く,無自覚症状例も4例あった.術前診断では,粘膜下腫瘍11例(55%),胃嚢腫4例(18.2%)であった.文献上のX線および内視鏡所見から,術前診断には,(1)X線的に粘膜下腫瘤の形の変化を補える.(2)内視鏡的に,これを確認し,更に波動性を証明する,などに要約されるが,実際上はかなり難しいと考えられる.
  • 中沢 三郎, 内藤 靖夫, 可知 常昭, 川口 新平, 塚本 純久, 梶川 学, 相地 正文, 木本 英三, 佐野 博, 鈴木 洋介, 浅井 ...
    1979 年 21 巻 7 号 p. 867-872_1
    発行日: 1979/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Eosinophilic gastroenteritisは極めて稀な疾患であるが,最近,私共は腹水の細胞診および手術にて診断し得た症例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 患者は41歳の男性で主訴は腹部膨満である.血液検査にて白血球数は11,100,好酸球は14%を示した.上部消化管X線撮影では前庭部に腫大した皺襞がみられ,内視鏡検査では十二指腸に浮腫と斑状発赤がみられた.しかし生検では好酸球浸潤はみられなかった.経過中,腹水が出現したが,同時に腸閉塞症状が惹起したため開腹したところ,腹水中に多数の好酸球と腸間膜リンパ節より形質細胞と好酸球の浸潤がみられた.プレドニゾロン投与により急速に治癒した.術後1年を経過しているが再発はみられない. 本症の診断は血中の好酸球増多と胃腸管壁の好酸球浸潤によりなされるが,浸潤が深部にある場合には困難である.急性腹症に際しては本疾患をも考慮すべきである.
  • 森 賢治, 福嶋 弘道, 松永 研一, 村上 一生, 赤司 文広, 今村 和之, 藤岡 利生, 中村 憲章, 牧山 和也, 原 耕平, 原田 ...
    1979 年 21 巻 7 号 p. 873-878_1
    発行日: 1979/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内胆道瘻は比較的稀な疾患である.我々は大腸ファイバースコープにて確診し得た胆嚢大腸瘻の1例を経験したので報告する.症例は60歳男性,下痢と体重減少を主訴として入院した.腹部単純X線にて総胆管空気像を認め,十二指腸ファイバースコープにてVater乳頭部の発赤と糜爛を認めた.注腸造影では肝彎曲部位にてバリウムの異常流出像が認められ,パンクレオザィミン・セクレチン試験では胆汁の欠如と,一因子の障害を認めた.手術にて胆嚢大腸瘻,肝硬変症,Vater乳頭部癌が確診された.
  • 1979 年 21 巻 7 号 p. 879-898
    発行日: 1979/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 21 巻 7 号 p. 899-901
    発行日: 1979/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 21 巻 7 号 p. 902-907
    発行日: 1979/07/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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