現代社会の複雑化にともなって,大腸の機能的疾患も増加する傾向を示している.ところが,人においては,深部大腸を含む,大腸の運動機能は,その構造上の問題から,今だ十分解明されているとはいえない. そこで,今回われわれは,大腸内視鏡を用いた.全大腸の内圧測定法を考案したので報告する.この方法は2channel処置用大腸内視鏡および,2channe1用スラィディングチューブを用いることにより,深部大腸を含む任意の部位にポリエチレンチューブを留置し,Open-tipped Methodで複数部位の同時内圧測定を行おうとするものである. この方法の問題点は,測定の直前に大腸内視鏡を用いること,またそのための前処置を行うことにより完全に生理的状態にあるとはいえない大腸の内圧測定を行っている点であろう.しかし,このような問題があるにしても,今までには,同一条件下での深部大腸を含む複数部位の同時内圧測定は行われておらず,症例を重ね検討することにより,大腸運動機能の解明に十分有効な手段となり得ると考える.
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