日本消化器内視鏡学会雑誌
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肝肺瘻を伴い特異なERCP像を呈した多包性肝エヒノコックス症の1例
矢崎 康幸関谷 千尋高橋 篤沼崎 彰高杉 佑一並木 正義河井 裕
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1979 年 21 巻 8 号 p. 999-1006_1

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抄録
第2次大戦中に北千島占守島にて感染した58歳男の多包性肝エヒノコックス症について報告した.主訴は黄疽の出没,肝腫,肝肺瘻による褐色の苦い痰の喀出である.なお,これらの症状発現までに感染後33~35年という長い経過を示した.胸部X線検査および腹部X線検査にて肺,肝に多数の石灰化を伴う病巣がみられた.エヒノコックスに関する主な免疫血清学的検査成績はすべて陽性であり,さらに高度の好酸球増多(30%)を認めた.ERCPで総胆管の狭窄,肝内胆管の拡張と肝内胆管が逆様に走っている像を示した.腹腔鏡検査では肝右葉下面に灰白色の硬い腫瘤を認め,その部の直視下生検組織において,厚いキチン膜を有するチステの像を認めた.これは本症の診断を決定ずける特徴的な所見である.肝肺瘻は手術により閉鎖され,そのとき行った外科的生検組織診断にても多包性肝エヒノコックス症の所見が得られた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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