日本消化器内視鏡学会雑誌
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21 巻, 8 号
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  • 村上 平
    1979 年 21 巻 8 号 p. 923-937
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    微小胃癌とはそもそも胃癌をより早期に発見し,治療しようとした努力の結果であると共に,どの程度小さなものまで診断しうるかという診断の限界に挑戦した結果の現状を物語るものである.しかもこれがもつさらに大きな意義は,小さなもの程癌の初期の形態をより明確に保持し,発癌の状態・経過,さらに癌発生母地の問題までを知る多くの情報を与えてくれることである.一方微小胃癌についてはすでに何回か学会あるいは雑誌の特集で取りあげられてきたが,まだまだ症例数も少なく,このような観点が十分検討されていない.そこで著者はこのような見地から,微小胃癌70症例81病巣についての内視鏡診断上の特徴,胃内各部位の微小胃癌の形態等について検討を加えた.
  • 水島 和雄, 原田 一道, 岡村 毅与志, 松田 朋子, 林 英樹, 並木 正義, 葛西 真一, 水戸 廸郎, 井原 和夫, 渥美 和彦, ...
    1979 年 21 巻 8 号 p. 938-947_1
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    西独,MBB社のYAGレーザーコアグレーター(MediLas)の止血効果と安錐につ謹礎的検討を行い,次のような結果を得た. (1)正黼粘膜へYAGレーザーを照射すると中心が白色に変色凋辺に円形の発赤と浮腫が認められた.照射後に生ずる醐は約3~4週で治癒した.(2)穿孔の纖性の棚では,出力45w,3秒,8回,出力65w,3秒,3回でも穿孔は認められなかった.(3)醐鏡下で生検鉗子により作成した出血モデルでは,出力45wで平均7.4秒,出力60wで平均5.5秒で止血した.出力20w,30wでは止血しない例があり,45w以上の出力が必要と考えられた.(4)照射止血後に生じた潰瘍は4~5週で治癒した.(5)開腹により粘膜を切りとり作成した動脈性の出血では,出血量は1分間平均6.1ccであったが,これに対しては出力40wで平均し18.0秒,出力50wでは平均15.7秒で止血した.(6)腸間膜動脈の出血では,血管径約1mmまで止血可能であった.また,血流量や血流速度により止血効果が異なると考えられた.(7)肝・腎・脾への照射では,出力45w,3秒にてそれぞれ5mm,5mm,2mmの深さまで光凝固による変化が認められた.
  • 崎田 隆一, 野見山 哲, 三輪 正彦, 鈴木 荘太郎, 原沢 茂, 谷 礼夫, 三輪 剛
    1979 年 21 巻 8 号 p. 948-955
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    15歳未満の小児に対し,3年10ヵ月の間に,30例57回の上下部消下管内視鏡検査を施行した.上部消化管内視鏡検査を男子16例,女子6例,下部消化管内視鏡検査を男子3例,女子5例に行なった.年齢は生後6ヵ月より14歳の30例で,10歳以上では,1例をのぞき,すべて咽頭麻酔を施行し,10歳以下は9例のうち6例に全身麻酔を施行した.使用器種は,上部消化管に対しては,上部消化管用パンエンドスコープ。(Glr-P2,GIF-P)を主として用い,下部消化管に対しては,直腸鏡を主として用い,CF-MB2も2例に施行した.小児の30例の内視鏡検査の有所見例は,上部消化管例では,十二指腸潰瘍5例,異物3例,食道狭窄2例,胃潰瘍1例であった.下部消化管例では,潰瘍性大腸炎1例,若年性ポリープ1例であった.若年性ポリープの例は,術中内視鏡的ポリペクトミーを施行した.以上,小児の消化管内視鏡検査は有用であり,適応を選んで,積極的に施行されるべきである.
  • 市川 恒次, 鵜川 四郎, 竹添 和英, 青野 義一, 黒坂 判造, 大原 毅, 近藤 芳夫, 嶋田 鼎
    1979 年 21 巻 8 号 p. 956-962
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    胃癌の深達度診断は予後に直接つながる重要な課題である.今回,われわれは隆起型胃癌を対象として,主として内視鏡的深達度の診断の面から検討を加えたので報告する.われわれの胃癌切除例は過去約13年間に690例であり,そのうち進行癌510例で,早期胃癌は180例である.今回検討の対象としたものはそのうち隆起型胃癌67例であり,そのうち14例はボールマンI型(以下Borr.I型)で,53例は早期癌である.隆起型胃癌は平均約60歳の高齢者にみられ,男性にやや多い.組織型は早期胃癌では高分化型腺癌が多く,Borr.I型では高分化型腺癌の他,未分化型腺癌等もみられた.各隆起型胃癌の大きさを底面積よりみると,1型及び豆a型のmはそれぞれ平均7.7,6.2cm2であり,smでは28.8および33.7cm2であった,Borr.I型では42.3cm2であり,病巣の大きさが深達度とかなり相関があることをうかがわせた.これらを円形と仮定した場合.I型とIIa型のmでは3cm,smでは6cm,Borr.I型では7cmとなる.内視鏡所見ではsmはmに比して不整形なもの,表面凹凸のつよいもの,陥凹性変化のみられるもの.白苔の付着をみるものが多い.Borr.I型ではこれらが一層顕著な傾向を示す.
  • 恒次 恭子, 小川 欽治, 清水 一良, 前川 高天, 梶谷 幸夫, 粉川 皓仲, 疋田 義太郎, 小泉 欣也, 工藤 昂, 安冨 徹
    1979 年 21 巻 8 号 p. 963-973
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    国立京都病院での5年間の内視鏡検査3141例を検討した.(1)全胃病変のAntrum出現率は12.9%であった..良性潰瘍,胃癌,ポリープのAntrum出現率は各々4.4%,40.4%,72.1%であった.(2)Antrumでは癌が35.6%,ポリープが35.0%認められ,良性潰揚は18.8%であった.(3)Antrumの潰瘍性病変は良性と悪性の比が2:3であった.(4)Antrumの良性潰瘍は35.7%が多発性であった.(5)良性潰瘍の約80%が腹痛で初発していた.(6)良性多発潰瘍の正診率は初回レ線では44%,胃ファイバースコープで83.3%であった.(7)Antrumの良性単発潰瘍の成因に全身疾患あるいは投薬が関与していることが示唆された.(8)4点生検法で腸上皮化生の広がりをみると,Antrum良性潰瘍の93%が非化生型に生じていた.Antrum悪性潰瘍は腸上皮化生と特に密接な関係があった.(9)Antrum良性潰瘍の切除10例中単発潰瘍2例はChannelulcerと同じ組織像を示し,6例は急性多発性潰瘍の特徴を有した.残り2例は慢性消化性潰瘍と同じ組織学的特徴を示した.
  • ―新しい肝硬度計の試作―
    関谷 千尋, 矢崎 康幸, 高橋 篤, 沼崎 彰, 並木 正義
    1979 年 21 巻 8 号 p. 974-980_1
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは肝の硬きを明確にとらえ,それを数値的にあらわしうる肝硬度計を新しく試作し,検討してみた.この肝硬度計は腹腔鏡検査のさい,シルバーマン針の外套管を利用して測定するようにできており,操作は数分で終了する程簡単なものである.しかも,手もとにpilot lampがついており,肝表面に硬度計が遼すると点灯するようにしてあるため,常に一定の条件で測定することができる.したがって,得られた肝硬度1直は再現性が高いだけでなく,腹腔鏡所見や肝生検所見の線維化と非常によく相関していた.一般に,肝の線維化が進む程肝硬度を示す数値は低くなり,肝硬変では最も低い値を示した.今回の成績からこの肝硬度計は肝疾患の診断や病態解明に有用であることが確認された.
  • 奥田 順一, 西脇 和善, 宮永 実, 窪田 吉克, 井田 和徳, 小林 成禎
    1979 年 21 巻 8 号 p. 983-989_1
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     色素内視鏡のうちメチレンブルー(以下MB)を用いた染色法について方法論的検討を加えた.胃粘膜腸上皮化生の診断を目的として,間接および直接MB染色を疾患を問わない53例を対象として,1ヵ月以内に両法を施行して各々の染色像を検討した.その結果,腸上皮化生の診断精度,観察の容易さ,簡便性いずれも間接法が秀れ,直接法は染色領域が狭く,染色程度も低い傾向がみられた. また48症例を対象として,間接法を2度施行して染色像の変動を検討すると,92%の染色領域が一致し間接法の再現性は良好であった. 胃癌9例,胃ポリープ19例24病変などを対象として,間接法と鈴木らのMB着色法(内服法)を同一症例に1週間以内に両法を施行して各々の染色性を検討した.胃癌例では両法とも89%の染色率で着色法にやや染色の強い傾向があったが,両者の差を認めえず,胃ポリープ例では着色法の染色率13%に比し,間接法で33%と高く,隆起性病変の質的診断には間接法が秀れていた.
  • 木藤 信之, 飯田 洋三, 青山 栄, 河村 奨, 竹本 忠良, 西尾 和政
    1979 年 21 巻 8 号 p. 990-994_1
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    2年前に胞状奇胎と診断され治療を受けた賭が,右季肋部と痛と消化管出血をきたした.検査にてHCG陽性肺.肝への転移巣を認め,胃X線検査,内視鏡検査で胃前庭部大彎に肉腫を思わせる腫瘤をを認め・生検により組織学的に悪性絨毛上皮腫の胃転移と診断した.Methottrexateの投与により1胃転移巣は著駆縮小した.悪性絨毛上皮腫は,早期に血行性転移をきたすが,胃への転程は極めてまれで,本邦報告例は鰍例を含めて8例にすぎず.過去の報告例はいずれも胃切除術後あるいは剖検によって確認されたものであった.鰍例は生検により病理組織学的に悪性絨毛上皮腫の胃転移を診断しえた極めてまれな症例である.
  • 八百坂 透, 近間 敏治, 石 昌事, 堀田 彰一, 塚越 洋元, 須賀 俊博, 三和 公明, 村島 義男
    1979 年 21 巻 8 号 p. 995-998_1
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡を用いた上部消化管内異物の摘出に関する論文は近年増加している.従来耳鼻咽喉科領域で行われた主に食道内異物に対する硬性鏡による除去にとって代わり,ファイバースコープを用いての摘出が今日主流となってきている.内視鏡器械の救良とともに鉗子器具の工夫改良が行われ,小さく粘膜を傷つける恐れのない鈍的な異物はもちろん,相当大きなものまで安全かつ容易に摘出されている現況は大変よろこばしい事である. 従来の報告のほとんどは食道ないし胃内の異物であるが,われわれは今回十二指腸下行脚内に48日間とどまっていた小児用歯ブラシを内視鏡的に摘出し得た症例を経験した.長期間体内にとどまっていた点,しかも十二指腸下行脚であった点,そして長さ14cmの歯ブラシという点で文献上稀有なるものと思われるので症例報告する.
  • 矢崎 康幸, 関谷 千尋, 高橋 篤, 沼崎 彰, 高杉 佑一, 並木 正義, 河井 裕
    1979 年 21 巻 8 号 p. 999-1006_1
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    第2次大戦中に北千島占守島にて感染した58歳男の多包性肝エヒノコックス症について報告した.主訴は黄疽の出没,肝腫,肝肺瘻による褐色の苦い痰の喀出である.なお,これらの症状発現までに感染後33~35年という長い経過を示した.胸部X線検査および腹部X線検査にて肺,肝に多数の石灰化を伴う病巣がみられた.エヒノコックスに関する主な免疫血清学的検査成績はすべて陽性であり,さらに高度の好酸球増多(30%)を認めた.ERCPで総胆管の狭窄,肝内胆管の拡張と肝内胆管が逆様に走っている像を示した.腹腔鏡検査では肝右葉下面に灰白色の硬い腫瘤を認め,その部の直視下生検組織において,厚いキチン膜を有するチステの像を認めた.これは本症の診断を決定ずける特徴的な所見である.肝肺瘻は手術により閉鎖され,そのとき行った外科的生検組織診断にても多包性肝エヒノコックス症の所見が得られた.
  • 1979 年 21 巻 8 号 p. 1009-1010
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 21 巻 8 号 p. 1011-1013
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 21 巻 8 号 p. 1014-1017
    発行日: 1979/08/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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