日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡と生検で経過を追った糞線虫症の2症例
野村 幸治天野 秀雄竹内 憲前谷 昇沖田 極竹本 忠良浜田 義之青山 栄岡 富子松原 竜男牧坂 泰治西明 義晃
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1980 年 22 巻 12 号 p. 1787-1794_1

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抄録

 糞線虫症は,熱帯および亜熱帯地方に広く分布している寄生虫症であるが,自家感染をくり返し,消化器症状を示す.また,重症化すると死の転帰をとることもある. 確定診断は,糞便中に本虫体を検出することであるが,われわれは,内視鏡下に十二指腸粘膜の変化を経過を追って観察し,発赤部位より生検を行ない虫卵を検出できた2例を経験した. 消化器症状を訴えてきた患者に,上部消化管X線検査を施行した場合には,十二指腸あるいは空腸の変化をもけっして見逃さないように注意しなければならない.十二指腸空腸に異常像を認めた場合,検便を注意深くおこなうと同時に,内視鏡下に十二指腸までを観察し,発赤,出血,浮腫等の所見があれば,生検による組織検索をおこなうことが本症診断のうえで重要である.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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