日本消化器内視鏡学会雑誌
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膵のう胞腺腫及び膵のう胞腺癌の膵管像の検討
進藤 仁大井 至戸松 成土岐 文武長廻 紘神津 忠彦竹内 正小幡 裕大橋 正樹鈴木 衛中村 光司鈴木 博隆羽生 富士夫
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1980 年 22 巻 12 号 p. 1803-1808

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抄録

 われわれは当センター開設以来,膵のう胞腺腫2例,膵のう胞腺癌2例を経験した.全例に内視鏡的膵管造影(EPG)を施行しているので,その膵管像を中心に検討した.膵のう胞腺腫では,1例は,主膵管が体部より先細り狭窄を示し,尾部で閉塞していた.しかし,狭窄部の辺縁は軟かくなめらかであった.2例目は,主膵管は頭部から体部にかけて長く狭窄し,尾側で均一な軽度の拡張を示していた.膵のう胞腺癌では,1例は,主膵管が拡張し,頭体境界部を中心に陰影欠損があり,また,尾側に抗張した膵管を認めた.更に,頭部主膵管内にも陰影欠損を認めた.2例目は,主膵管が頭部で細まりながら閉塞し,その尾側端は下方に圧排されていた.本例でも頭部主膵管内に陰影欠損を認めた.このように,膵のう胞腺腫及び膵のう胞腺癌は,限局性の狭窄・閉塞像を示し,膵管像からは膵癌との鑑別は困難であり,また,膵のう胞との鑑別も困難であった.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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