日本消化器内視鏡学会雑誌
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陥凹型3多発早期胃癌の1例
高橋 篤関谷 千尋並木 正義伊藤 吉博佐藤 富士夫
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1980 年 22 巻 3 号 p. 384-389_1

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抄録
 同一胃内に3個の陥凹型早期癌の多発をみた症例を報告した.患者は44歳の男性で,主訴は心窩部痛であった.胃X線検査,胃内視鏡検査にて,胃角上部小彎,胃角部前壁,胃角部後壁大彎寄りにそれぞれ陥凹性病変を認めた.生検の結果,胃角上部小彎からは印環細胞癌,胃角部後壁大彎寄りからは腺癌が証明されたため手術を施行した.切除胃標本の検索で,生検では癌陰性であった胃角部前壁の病変も癌であることが判明した.結局,胃角上部小彎と胃角部前壁の病変はIIc(印環細胞癌),胃角部後壁大彎寄りの病変はIIc+III(管状腺癌)であった.3病変は肉眼的にも組織学的にも独立して存在しており,深達度はいずれもmで,リンパ管,脈管への癌細胞の浸潤を認めず,Moertel等の多発癌の定義を満足していた.3多発胃癌で,すべての病変が陥凹型であるものは稀であり,若干の文献的考察を加えた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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