抄録
腹腔鏡は簡単に操作でき,かっ確実に観察が可能で,しかも記録として鮮明な写真がつねに確実容易に撮れることが必要である.著者らは,その目的のために新しくEE機構内臓体腔外フラッシュ式の腹腔鏡装置を試作し,基礎的・臨床的に検討した. 光学視管については配光性を改良し,像面彎曲の減少・解像力の向上をはかり,高輝度光源の使用により,ライトガイド方式ながら明るい像を得るようにした.撮影は,硬性鏡のカメラとしては初めての発光量を自動制御する方式で,短時間に連続的に観察しつつ,近接,遠影ともに十分判読可能な明るい写真がつねに得られた. この試作腹腔鏡は,操作性も高く,体外フラッシュ方式であるので,撮影に伴う偶発症の危険もなく,肝疾患ならびに腹腔内臓器診断に有用であり,とくに鮮明な写真が得られることから,それら疾患の経過追求に威力を発揮するものと確信する.