日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃癌生検偽陰性症例の検討
加藤 俊幸丹羽 正之斉藤 征史小越 和栄
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1981 年 23 巻 9 号 p. 1226-1232

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抄録

 15年間に胃生検施行後に切除された胃癌症例における生検偽陰性例について,どのような症例に多いのか,どのようにしたら減らすことができるのか検討した. 早期癌の偽陰性例は292例中29例(9.9%)で,肉眼形態ではIII 型,IIb型に高率であった.陥凹型では島状正常粘膜や再生上皮などの聖域を認めた例で偽陰性率が高かった.進行癌の偽陰性例は665例中69例(10.4%)で,偽陰性率はBorrman IV型で14.9%と最も高率で,次いでI 型,III 型,II 型であった. 結論として偽陰性例を減らすためには病巣の十分な観察を行い適切な採取部位を決定することと,とくに初回生検偽陰性例に対し再生検を行うことが重要であると判明した.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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