日本消化器内視鏡学会雑誌
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23 巻, 9 号
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  • 武井 朗夫
    1981 年 23 巻 9 号 p. 1201-1218
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     胃集検における内視鏡の位置づけに関し,間接X線の診断能,直接X線の診断能,内視鏡器種の相違による精度と能率について検討し,以下の結論を得た. 1)間接X線の存在診断能は早期癌68 .1%,進行癌82.6%であつた. 2)発見胃癌患者の11・4%は2年以上続けて集検を受けており,そのうちの32%は前年度の間接X線フィルムに示現されていなかった. 3)したがって,2年以上集検を受診し異常なしとされた例は翌年は第一次スクリーニングに内視鏡を用いる必要性が示唆された. 4)早期胃癌の直接X線の存在診断能は74 .5%,質的診断能は61.2%であった. 5)第二次スクリーニングに盲目的胃カメラを使用していた時期の胃癌発見率は0.17%であったが,可視内視鏡を使用してから0.28%と有意の差で増加した(P<0.001). 6)GT-PAとGTF-S3の検査時間に差がなく,精度の面からも第二次スクリーニングにはGTF-S3が適している. 7)GIFは食道・十二指腸の把握が正確にできるが,GTF-S3に比して検査時間が長くかかる.しかし上部消化管集検としての将来性が示唆された.
  • 斎藤 寿一, 麓 耕平, 坂本 隆, 藤巻 雅夫, 田中 三千雄, 島田 一彦, 藤倉 信一郎, 斉藤 清二
    1981 年 23 巻 9 号 p. 1219-1225
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道拡大内視鏡検査法への応用を目的として,10例の食道癌切除標本を実体顕微鏡により拡大観察し,その微細表面形態を検索した.観察にはルゴール染色が必要不可欠であった.また,われわれの考案した食道組織片採取器具を用いてごく限られた範囲の組織片を採取し,その組織像と実体顕微鏡による所見とを対比検討を加え,いくつかの興味ある所見を得た. 正常と判断した粘膜でも,拡大像では種々の小不染部位が認められ,その組織像では上皮の菲薄化が特徴であった.濃染色部はGlycogenic Acanthosisの所見であり,その表面に乳頭の飛び出しと思われる体毛様の所見がみられた.癌露出部では,正常粘膜部の平滑さが失なわれ,著明な大小の凹凸がみられた. これらの実体顕微鏡による観察所見は,今後の拡大内視鏡検査に有用であると考える.
  • 加藤 俊幸, 丹羽 正之, 斉藤 征史, 小越 和栄
    1981 年 23 巻 9 号 p. 1226-1232
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     15年間に胃生検施行後に切除された胃癌症例における生検偽陰性例について,どのような症例に多いのか,どのようにしたら減らすことができるのか検討した. 早期癌の偽陰性例は292例中29例(9.9%)で,肉眼形態ではIII 型,IIb型に高率であった.陥凹型では島状正常粘膜や再生上皮などの聖域を認めた例で偽陰性率が高かった.進行癌の偽陰性例は665例中69例(10.4%)で,偽陰性率はBorrman IV型で14.9%と最も高率で,次いでI 型,III 型,II 型であった. 結論として偽陰性例を減らすためには病巣の十分な観察を行い適切な採取部位を決定することと,とくに初回生検偽陰性例に対し再生検を行うことが重要であると判明した.
  • 丹羽 寛文, 半井 英夫
    1981 年 23 巻 9 号 p. 1233-1245
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    幽門および幽門前部の内視鏡像を,胃カメラフィルムについて検討した.対象は近接観察210例,遠景での観察521例であり・両者の比較を行い得たのは186例であった.近接像では幽門の形状は,小彎側が内側に突出するまが玉状のものが最も多く44.8%,ついで小彎側直線27.6%,円形18.1%であった. 幽門前部小彎には幽門輪に連続して隆起を認める例が多く,これらの所見は空気量を変えても恒常した.また経過追求を行ってみても,その所見にかなりの恒常性が認められた。 幽門前部小彎の隆起を主体として,幽門・幽門前部の形態をI からIX型に分類した. 幽門輪自体の形状の近景・遠景を比較すると,両者間にかなりの相関が認められた.また,形態分類1型では,遠景で円形のものが多く,V 型では,遠景でまが玉状のことが多く,しかも遠景でも明らかに小彎隆側起のみられた例が多かった. 幽門前部小彎の隆起の特に著明であった症例の手術所見では,幽門に接する幽門前部小彎に著明な限局的筋層の肥厚がみとめられた. 幽門前部小彎側の隆起の成因として,いわゆる筋板torusの関与が示唆された.
  • 大井田 正人, 久保 精志, 勝又 伴栄, 西元 寺克礼, 岡部 治弥
    1981 年 23 巻 9 号 p. 1246-1255
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     拡大内視鏡を用い,陥凹型胃癌の観察を行なった. IIc部の粘膜は拡大観察を行うと不整な結節状粘膜であった.この結節状粘膜は良性潰瘍との比較にて拡大観察だけではその鑑別は難しく,局在した結節状粘膜部を生検する事が癌の確定診断に必要であると考えた.結節状粘膜を呈する癌巣部は,組織学的には高分化型癌では被覆上皮も癌組織であったが,低分化型癌では非癌性粘膜内に癌細胞浸潤を認めた. また癌巣内潰瘍の再生上皮について検討してゆくと悪性サイクル現象にふれずにはおかれない問題となってきた.拡大内視鏡で経過を追い潰瘍の消失した症例を経験し,その拡大内視鏡による粘膜模様を検討した.低分化型癌では,組織学的分類(堀之内)の開放期→ 聖域型→ 地層型→ 癌上皮型→ 開放期のコースは拡大内視鏡では,TypeI(またはTypeII)→TypeIII→TypeIV→ 拡大聖域型→ インゼル混在型→不整結節型→TypeIを呈すると考えられた.高分化型癌では,潰瘍が非癌性再生上皮で覆われて瘢痕化する事がない為,拡大内視鏡でも拡大聖域型の粘膜模様はないのではないかと考えられた.
  • 渡辺 浩之, 菊地 一博, 瀬上 一誠, 野見山 哲, 三輪 正彦, 鈴木 荘太郎, 原沢 茂, 谷 礼夫, 三輪 剛
    1981 年 23 巻 9 号 p. 1257-1260_1
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     49歳男性で内視鏡的にIIc+IIa型あるいはIIc+1型と考えられる肉眼形態を示し,深達度sm,1y0,v0の印環細胞を主体とする早期胃癌を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 噴門部直下後壁に3.0×2.Ocmのびらん性陥凹内に2.0×1.5cmの腫瘤があり,生検で隆起と周囲のびらんともに印環細胞癌であった.腫瘤の起始部及び周囲のびらんには印環細胞癌の増殖がみられ,著明な線維増生を伴ないながら粘膜下層に浸潤していた.腫瘤の中心部では,幼若かっ豊富な結合織線維内に印環細胞癌が散在していた.本例の腫瘤は,印環細胞癌の粘膜下層への浸潤に伴なう著明な線維増生により形成されたと思われる.
  • 浅上 文雄, 河村 奨, 川嶋 正男, 清水 道彦, 有山 重美, 東 光生, 前谷 昇, 播麿 一雄, 永富 裕二, 相部 剛, 多田 正 ...
    1981 年 23 巻 9 号 p. 1263-1268_1
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    われわれは,職域胃集検の精検として施行された胃内視鏡検査後に,前庭部急性胃潰瘍を発症した5例を経験した・全症例とも明らかな誘因が不明であった.このような急性胃潰瘍の成因はなお不明であるが,胃内視鏡検査自体がなんらかの形で急性潰瘍発症に関与しているのではないかと推測した.なお,集検の場以外での通常の内視鏡検査自体が誘因となったと考えられる急性胃潰瘍の1例を追加した.
  • 田尻 久雄, 佐々木 喬敏, 杉山 憲義, 馬場 保昌, 二宮 健, 大橋 計彦, 丸山 雅一, 竹腰 隆男, 深見 敦夫, 高木 国夫, ...
    1981 年 23 巻 9 号 p. 1269-1275_1
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     初回の胃X線検査で著変をみとめないものが約2年間の経過後に低蛋白血症を伴った巨大皺襞症に変化した1例を経験した. 患者は44歳男性で,1977年9月,1978年6月に他院にて施行した胃X線検査では異常はみとめなかった.1979年10月上下肢の浮腫と嘔吐を主訴に癌研内科初診し,同年11月13日入院した.血液検査で著明な低蛋白血症(3.89/d1)を示した.胃X線・内視鏡検査では胃体部- 幽門前庭部まで粘膜ひだの太まりと蛇行がみられ,その表面にはびらんが多発してみとめられた.粘膜肥厚部の内視鏡的ポリペクトミーによるmass biopcyでは主に固有胃腺の萎縮を伴った腺窩上皮の過形成を示していた・低蛋白血症を伴ったMénétrierと診断し,1980年1月23日胃全摘術を施行した.切除胃の組織学的検査によりPolyadenomes en nappeとpolypeuxの共存した例でMénétrierの原著の症例4に相当すると考えられた.術後低蛋白血症は改善し現在外来にて経過観察中である.
  • 斎藤 清二, 樋口 清博, 島田 一彦, 窪田 芳樹, 藤倉 信一郎, 市田 隆文, 田中 三千雄, 佐々木 博, 竹本 忠良
    1981 年 23 巻 9 号 p. 1276-1282_1
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    膵管癒合不全(pancreas divisum)は,内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)により比較的しばしば発見される膵奇形であるが,最近本症が慢性膵炎や,腹部愁訴の原因になり得ることが注目されている.われわれは180例のERCP施行例中,3例(約1.7%)の膵管癒合不全症例(49歳女性,25歳男性および68歳男性)を経験し,いずれも副乳頭からの背側膵管造影にて確診し得た.症例1,2では膵外分泌機能は正常であったが,症例1では血清アミラーゼ誘発試験陽性で,背側膵管にだけ軽度の分枝拡張を認めた.また症例2では,原因不明の腹痛,下痢が認められた.症例3では,膵機能検査は行い得なかったが,血清アミラーゼの高値を認めた.本症の確定診断および膵炎合併の有無を知るためには,主乳頭からの造影で得られる腹側膵管像を正確に読影することはもちろんであるが,副乳頭からの背側膵管造影を成功させることが必要不可欠であると思われる.
  • 加藤 修, 倉下 隆, 鈴木 孝, 服部 和彦, 吉崎 聡
    1981 年 23 巻 9 号 p. 1285-1288_1
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    十二指腸粘膜下腫瘍は,間歇性下血を特徴とするものが多いといわれている.これは,最初の出血時における上部消化管の検索が不充分なためであるとも考えられる.症例は40歳の男性で,5年間にわたる下血を主訴としており,この間,数回の上部消化管透視を施行されたにも拘らず出血源は発見されず,当院における上部消化管透視および十二指腸ファイバースコープにて初めて十二指腸第3部に粘膜下腫瘍が発見された.摘出標本にて,十二指腸管腔内外に発育し,粘膜側に浅い潰瘍を有する2.5×5.Ocmの平滑筋腫が証明された.十二指腸の症変は,必ずしもレントゲン的検索を待たずとも,内視鏡にて十分発見し得るものである.
  • 喜田 剛, 福田 能啓, 田島 強, 矢島 太郎, 山辺 恭司, 前田 栄昭
    1981 年 23 巻 9 号 p. 1289-1293_1
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年,Campylobacter fetus subspecies jejuniの糞便からの培養が可能となり,下痢患者中にこの細菌による腸炎がかなり高率に存在することがわかってきた. 従来,Campylobacter腸炎では,病変部位は,剖検症例の観察などから,小腸であるとされてきたが,1978年のLongfieldの報告以来,大腸病変の報告もみられるようになった. われわれもCampylobacter腸炎3例に大腸内視鏡検査を行い,いずれも大腸に異常所見を認めた.2例はアフタ様大腸炎,大腸Crohn病に,1例は潰瘍性大腸炎に類似した内視鏡像であった.いずれも,血便,腹痛,発熱があり,臨床像も非特異性炎症性腸疾患と類似する点があった. 従って,潰瘍性大腸炎,Crohn病などの非特異性炎症性腸疾患の診断に際して,Campylobacterによる大腸病変の可能性を充分考慮に入れておく必要がある.
  • 郡 大裕, 布施 好信, 児玉 正, 須藤 洋昌, 福田 新一郎, 内藤 英二, 多田 正大
    1981 年 23 巻 9 号 p. 1294-1300_1
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     15歳未満の小児63例に計101回の上部消化管内視鏡を施行した.2歳以下を乳児期(6例,9.5%),3-6歳を幼児期(5例,7.9%),7-11歳を学童前期(9例,14 .3%),12-14歳を学童後期(43例,68.3%)に分類した.使用器種はGIF-P2型ファイバースコープが最も多く,全身麻酔を使用したのは,乳幼児11例中4例と10歳女児の胃内異物例の計5例のみであった. 主訴では幼児期から学童前期では吐下血が,学童後期では腹痛,貧血が過半数を占めた.また疾患別では乳幼児では先天性食道狭窄例や異物誤飲例が多く,学童後期では消化性潰瘍や(出血性)胃炎が43例中24例であった. 経過の追えた10例の消化性潰瘍のうち7例は6週以内で治癒し,再発は精神的ストレスが原因と思われた14歳男児の多発性十二指腸潰瘍例のみであった.
  • 1981 年 23 巻 9 号 p. 1303-1310
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 23 巻 9 号 p. 1311-1313
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 23 巻 9 号 p. 1313-1316
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 23 巻 9 号 p. 1316-1321
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 23 巻 9 号 p. 1321-1347
    発行日: 1981/09/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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