日本消化器内視鏡学会雑誌
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経内視鏡的切除を施行した十二指腸粘膜下脂肪腫の1例
和田 秀一川原 健治郎飯島 義浩友野 隆
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1982 年 24 巻 1 号 p. 117-121_1

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抄録
 十二指腸下行脚に生じた粘膜下脂肪腫の1例を経験し,その経内視鏡的切除を施行した. 症例は75歳男性・食欲不振を主訴に来院し,内視鏡検査及び低緊張性十二指腸造影にて,十二指腸下行脚に山田分類lll型の隆起性病変を認め,経内視鏡的に高周波電気焼灼による切除を行なった.腫瘤の大きさは,15×11×6mmで,組織学的には粘膜下脂肪腫であった. 十二指腸脂肪腫の本邦報告数は,1980年12月までの集計で自験例を含め16例で,うち3例が内視鏡的に切除されている.中高年齢者に多く,女性にやや多い傾向がみられた.発生部位は下行脚及び下行脚から水平脚への移行部が最も多く,球部,第3脚の順に少なくなる.内脂肪腫がほとんどで,外脂肪腫は1例のみである.特有な臨床症状はなく,心窩部痛等の不定愁訴が多い.診断及び治療の上で,経内視鏡的切除が有効であるが,その実施にあたっては,穿孔等の偶発症に対する十分な注意が必要である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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