日本消化器内視鏡学会雑誌
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膵体尾部欠損症と考えられる1例
永田 成治永井 賢司大松 碩彦星山 道夫浅井 幹一坂口 潤子三輪 新
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1982 年 24 巻 1 号 p. 111-116

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抄録
 体重減少,尿糖陽性の精査を求めて来院した52歳女性で,ERPにより短小主膵管をきっかけに発見された膵体尾部欠損症と考えられる1例を報告した.肝機能検査・血清・尿アミラーゼに異常なく,50grブドウ糖負荷試験では糖尿病型を示し,IRIも低反応であった.PSテストは1因子(最高重炭酸塩濃度)のみ低下.膵シンチグラム,CTでは膵頭部のみしか認めず.腹部血管造影では膵体尾部への支配血管が欠如していた.ERPでは主乳頭,副乳頭に異常はなく,主膵管は頭部で孤状に副膵管に連がり,狭窄,閉塞,不整等の異常所見もなく,分枝管にも圧排等の異常を認めない.手術はされていないが,その特異な膵管像より膵体尾部欠損症が最も考えられる.原因については先天性膵体尾部欠損症か,膵体尾部の脂肪変性あるいは萎縮・線維化等によると考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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