日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡にて確診し,摘出し得た肝海綿状血管腫の1症例
松崎 靖司川北 勲井廻 道夫三田村 圭二樫村 博正谷中 昭典蔡 承熹東郷 順子宮本 二郎中原 朗小山 捷平山形 迪武藤 弘福富 久之大菅 俊明崎田 隆夫深尾 立岩崎 洋治
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1982 年 24 巻 1 号 p. 130-134_1

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抄録
 58歳女性,S状結腸癌切除術施行時,肝血管腫を発見されたが放置された.半年後に下痢と腹部膨満感出現し,S状結腸癌再発を疑い精査を行った.肝シンチグラムにて左葉の欠損を認め,腹部エコーにて肝左葉に連続して内部にmulticysticエコー像を呈する腫瘤を認めた.血管造影にて左肝動脈より栄養されるvascubr lakeを認めた.腹腔鏡にて肝円靱帯の左側,左葉に一致する部位に白色調の肥厚した被膜に被われた凹凸不整の表面で,赤紫色斑状の血管腫を認めた.血管腫摘出のため肝左葉切除術を施行した.腫瘍は大きさ11×7×5cm,重さ4559であった.割面は血液を含む多房性海綿状のもので,組織像は大小不同の血管腔よりなり,壁が扁平な一層の内皮細胞で被われた結合織隔壁を持つ海綿状血管腫であった.以上のごとく,血管造影検査,腹腔鏡検査にて確診し得,摘出に成功した比較的大きな肝海綿状血管腫の一治験例を若干の文献的考察を加え報告する.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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