日本消化器内視鏡学会雑誌
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抗生物質投与後にみられた薬剤性腸炎の検討―特に内視鏡所見について―
島本 史夫正宗 研岩越 一彦山本 克夫水田 静雄岡 博行浅田 修二李 法中大柴 三郎
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1982 年 24 巻 1 号 p. 31-39_1

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抄録
 最近,抗生物質投与後に,細菌性赤痢に類似した血性下痢を起す症例が注目されている.著者らは最近2年間に抗生物質投与後に発現した血便症例を14例経験したので,その臨床症状,内視鏡所見を中心に検討した.その結果・性別頻度は女性に多くみられ,すべての年齢層に発症した.血便は抗生物質,とくにABPC投与後平均7日目に出現し,血便の回数は1日10回以上が多く,抗生物質の投与を中止し,対症療法のみで症状は平均6日後に改善した・血便が出現した時期に施行した大腸内視鏡検査の所見は,主として下行結腸からS状結腸にみられた発赤・浮腫・びらんなどの所見が特徴的で,潰瘍・偽膜形成はみられなかった.これらの所見は血便消失後比較的短期間で改善した.糞便の細菌学的検査でKlebsiella oxytocaが半数以上の症例で検出された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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