抄録
胃底腺ポリポージス(fundic gland polyposis:以下FGP)の内視鏡的特徴を色素内視鏡検査法を用いて検討した.FGPは胃体部胃底腺粘膜領域に多発する山田II~III型の色調変化のない数mm以下のポリープであった.ポリープを色素内視鏡下に近接観察すると,程度の差はあるが,大部分のポリープに表面凹凸がみられ,著明なものでは,いわばpolyp on polypといえるような所見を呈した.FGPの胃は胃底腺・幽門腺境界型がclosed typeのC0,C1型で,胃底腺領域の広い胃であり,ポリープ周囲の粘膜は,細かい小区が密集した萎縮性変化の少ない所見を呈し,胃前庭部には縦走する線状発赤が全例にみられ,一部例には発赤上に線状びらんがみられた.大腸腺腫症を伴なわないFGPは,このような表層性胃炎の指標となる前庭部くし状発赤を併発することによって上腹部愁訴が出現し,本症が発見されたと思われた.