抄録
著者らは,全身性エリテマトーデスの50歳,女性で,ステロイド服用中胃X線検査で幽門前庭部小彎側に胃潰瘍を認め,約6年後Double Pylorusを呈した症例を経験した.胃X線および内視鏡検査で,正常な幽門の小彎側に瘻孔の開口部があり,その入口部に潰瘍を認めた.手術を行ったが,pyloricbandは約7×30mmで,組織像をみると,瘻孔は胃粘膜下組織を貫通していた.この瘻孔の粘膜は再生上皮で,とくに漿膜側は十二指腸粘膜上皮に酷似していた.Double Pylorusの成因およびステロイドの影響などにつき文献的考察を行った.