抄録
虫垂粘液嚢腫の2例について報告する.症例1は48歳男で心窩部不快感を主訴とし,注腸X線検査で虫垂は造影されず,腫瘤による盲腸と回腸末端の圧排所見を認めた.回盲部腸管外腫瘍の診断で開腹すると,腫瘤は腫大した虫垂そのものであり,大きさ8.0×3.6cm,重さ185gであった.割面では均質な寒天様物質の充満がみられ,組織学的には虫垂粘膜上皮は一部に上皮細胞が認められたが,大部分は萎縮脱落を示した.症例2は77歳女で上腹部痛を主訴とし,注腸X線検査で虫垂は造影されず,盲腸部に表面平滑な粘膜下腫瘍の所見と同腫瘍を先進部とした腸重積の所見を認めた.大腸内視鏡検査では,盲腸に立ちあがりが緩やかで表面が黄燈色の平滑な腫瘤を認めた.虫垂粘液嚢腫または脂肪腫の診断で開腹すると腫瘤は腫大した虫垂そのものであり,大きさは4.0×2.5cmであった.割面や組織所見は症例1と同様であった.2例の経験をふまえ,虫垂粘液嚢腫につき考察を加える.