日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
ERCPで診断し得たいわゆる早期胆嚢癌の3例
武田 正彦矢部 英幸花房 英二河内 文子国近 啓三三島 邦基原田 英雄木村 郁郎
著者情報
ジャーナル フリー

1982 年 24 巻 6 号 p. 942-948_1

詳細
抄録
近年,各種画像診断法の普及に伴い膵胆道系の早期癌と思われる報告が増加しつつあるが,未だ十分とは云い難い.われわれは最近3例のいわゆる早期胆嚢癌を経験したので報告するとともに,診断過程を振り返る事により胆嚢癌の早期診断へのアプローチの方法を検討した. 症例(1)は78歳の女性で,発熱・右季肋部痛・黄疸の胆石様症状で発症し,ERCPで胆嚢癌と診断した.術後,癌は粘膜内に限局している事が確認され,胆石様症状は凝血壊死塊によると考えられた.症例(2)は58歳男性で,心窩部痛と食欲不振の原因検索中に腹部超音波検査(US)で胆嚢体部の狭窄と腫瘤を発見しERCPにて癌の確定診断を得た.癌の浸潤はわずかにsmに及んでいた.症例(3)は43歳男性.心窩部痛と体重減少の精査中にUSで胆嚢内に結石と腫瘤の存在を認めERCPにて確診を得た.術後,癌の浸潤はわずかにpmに及んでいた. 3例とも転移は全く認められず,いわゆる早期胆嚢癌と考えられた.診断過程ではUSが癌発見の糸口となり,ERCPで確定診断を得る事ができた.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top