日本消化器内視鏡学会雑誌
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DHPN実験膵癌における膵管像の経時的変化と組織所見の対比検討
田尻 久雄吉森 正喜中村 耕三斉藤 大三土方 淳広橋 説雄
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1983 年 25 巻 7 号 p. 1006-1012

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抄録
 ヒトの小膵癌を膵管像から正しく診断するための手がかりを得る目的で,実験膵癌における膵管像の経時的変化について検討を行なった.雄性Syrian golden hamster 28匹に2,2′-ihydroxy-di-N-propylnitrosamine(DHPN)250mg/kg体重を週1回皮下注射し,8週~28週の間2週毎に屠殺解剖した.全例に膵管造影を施行し,それらの膵管像の経時的変化と組織所見を対比した.組織学的には16週目よりcarcinomainsituと鑑別困難な異型過形成をみとめ,24週以降にはすべてに膵癌の浸潤性増殖をみとめた.膵管造影上は,組織所見に一致した初期段階の微細な変化までとらえることが可能であった.すなわち,16週目には分枝のわずかな狭窄像をみとめ,20~22週では主膵管に狭窄~ 圧排像を,さらに24週以降は閉塞像をみとめた.ハムスター膵における初期の腫瘍性変化は主に主膵管レベルより分枝領域レベルが先行する可能性が大きいと考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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