日本消化器内視鏡学会雑誌
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穿孔をきたした転移性胃悪性黒色腫の1剖検例
中田 秀則中谷 敏英土井 芳夫西岡 新吾矢高 勲
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1983 年 25 巻 7 号 p. 1074-1078_1

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抄録
 悪性黒色腫の胃転移を臨床的に診断し,その転移巣の穿孔によって死亡した1剖検例を経験したので報告する.患者は70歳男性,昭和54年12月左第1趾の悪性黒色腫と診断された.56年12月7日再発により当院皮膚科に入院,胃X線上異常所見あり,57年1月27日当内科に入院した.両鼠径部,左下肢皮膚に黒色小結節散在.貧血,肝腫大あり,胃X線,内視鏡では,胃体中部後壁に隆起性病変あり中央に潰瘍を認め潰瘍底は黒灰色を呈する.bridging-foldを伴い粘膜下腫瘍の像を呈し,生検により悪性黒色腫の胃転移と診断された.消化管穿孔のため3月5日死亡.剖検では胃に径2cm大の腫瘍部の穿孔を認め,組織学的には粘膜下層を中心に腫瘍細胞の増殖がみられた.胃転移は単発で他の消化管に転移は認められなかった.悪性黒色腫の胃転移は剖検では比較的多いとされるが,生前にその特有像に拘わらず診断される機会は少なく,その穿孔例の報告は稀である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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