日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
ISSN-L : 0387-1207
胃拡大内視鏡検査法による発赤病変の鑑別能
(基礎的検討)
高橋 寛
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 26 巻 10 号 p. 1637-1645

詳細
抄録
 胃内に観察される発赤を,拡大内視鏡により観察した.胃粘膜の微細構造は,点状パターン,棒状パターン,迷路状パターン,網状パターン及び,それぞれの混在に分類した. 胃底腺領域では,点状パターンが100%観察された.腺境界部では,点状と棒状パターンの混在部が52%,棒状パターンは61%観察された.幽門腺領域では,棒状と迷路状パターンの混在部が82%,迷路や網状,および両者の混在部が100%観察された.発赤部を拡大観察すると,6種類のパターンに分類できた.a)周囲発赤型(peripheral redness type),b)タイル型(the type),c)棚状型(fence type),d)不整型(irregular type),e)破壊型(destructive type)f)血管型(vascular type)に分類された.これらは,潰瘍,癌,びらんと密接な関係がみられた.特に,胃癌では不整型と破壊型が重要であった.組織型と拡大所見との関連においては,高分化型腺癌と低分化型腺癌とのあいだに,有意な差はみられなかった.
著者関連情報
© 社団法人日本消化器内視鏡学会
次の記事
feedback
Top