日本消化器内視鏡学会雑誌
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脂肪肝の線維化に関して―とくに腹腔鏡的および生検組織学的検討を中心に―
幸田 弘信関谷 千尋矢崎 康幸高橋 篤佐藤 仁志長谷部 千登美富永 吉春奥野 一嘉並木 正義
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1984 年 26 巻 12 号 p. 2362-2367_1

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抄録
 過栄養性脂肪肝48例をその程度により高度群,中等度群,軽度群の3群に分類し,肝線維化の状態について検討した.腹腔鏡でみた脂肪肝の肝表面は,ほぼ平滑でびまん性に黄褐色調を呈するか,敷石状に配列した黄色紋理のみられることが特徴的である.そのほかに小陥凹や門脈終末枝の拡張あるいは増生所見がしばしば観察される.今回の検討でもこの所見がそれぞれ17例(35.4%),9例(18.8%)に認められた.これらの所見はいずれも高度脂肪化群に多く,その肝生検組織像でも中心静脈域の肝細胞壊死や線維化を認めることが多かった.特に脂肪蓄積高度群ではP-P結合が25%, P-C結合が30%にみられた.ただし,肝全体の小葉構造が乱れたものは1例もなかった.以上のことから過栄養性脂肪肝でも重症になると脂肪滴によりsinusoidal blockが起こり,中心静脈域を中心に肝細胞の壊死および線維化をきたすものと思われる.
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