日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡下肝生検により,F型より甲型への移行が観察されたアルコール性肝硬変の2症例
小山 恒前田 正人坂本 龍小泉 精策金山 正明蓮村 靖武内 重五郎
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1984 年 26 巻 2 号 p. 274-280_1

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抄録
 腹腔鏡検査および肝生検所見にて,F型より甲'型肝硬変への移行を認めたアルコール性肝硬変の2症例を報告する.症例は2例とも40代男性の大酒家で,第2例に輸血歴を認めるが,肝炎の既往は両者とも認められない.血中HBs抗原,肝組織内HBs抗原,HBc抗原はいずれも陰性である.血中HBs抗体は第1例は陰性で,第2例は陽性である.第1例は,腹腔鏡検査と肝生検にて,5年1カ月の経過でF型より甲'型への進展が認められた.第2例は,初回肝生検(昭和48年7月)では肝線維化中等度であり,昭和55年6月にはF型肝硬変,昭和56年8月には甲'型肝硬変と進展し,昭和57年7月には甲'型であるが,結節の増大化が認められた.第1例では飲酒によりγ-GTPの高値とGOTの上昇の持続を認めたが,肝機能の急激な増悪はなく,F型より甲'型へ5年1カ月の経過で移行したのに比し,飲酒による肝機能の増悪を繰り返した第2例では,1年2カ月でF型より甲'型へ移行した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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