抄録
消化器レーザー内視鏡治療におけるYAGレーザー照射法の応用は活発であるが,現時点では必ずしも十分な成績は得られていない.筆者らは,従来の非接触照射による欠点を補う目的で,対象部位に確実に照射しうる接触型導光ファイバーの改良を試みた.本研究に用いた接触型レーザーロッドは石英ファイバーより硬度,耐熱性に優れ,組織との癒着あるいは先端の破損を生じない酸化アルミニウムの溶融体(セラミック)である.雑種成犬の開腹下胃粘膜を対象とした実験において,凝固変性は接触部位の粘膜表層で限局し,粘膜下層上部で最大に漸増し,次いで深層に向って漸減する菱形の領域を形成した.レーザーロッドは石英と比べ,高拡散ビームが得られ,非接触照射より深い凝固変性を来たした.今後,内視鏡治療への応用が期待されるが,臨床応用における安全性,さらに有効な照射法に関する十分な検討が必要である.