日本消化器内視鏡学会雑誌
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潰瘍性大腸炎の粘膜血流に関する研究
多田 正大清水 誠治西村 伸治鹿嶽 研渡辺 能行川井 啓市
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1984 年 26 巻 7 号 p. 1062-1067

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抄録

 潰瘍性大腸炎の病態の一面を検討する目的で,32名の本症患者および健常者7名に対して内視鏡下に水素ガスクリアランス法による粘膜血流測定を行った.直腸S状部の粘膜血流は潰瘍性大腸炎・活動期において増加し,緩解期になると健常者と同等のレベルにまで低下した.また粘膜血流は潰瘍性大腸炎の重症度と比例したが,病変範囲やpatient yearとの比例はみられなかった.病理組織学的には潰瘍性大腸炎の重症例では粘膜の毛細血管に血管炎や血栓が起り,微小循環不全状態にあることが疑われているが,粘膜血流の面からみると重症例でも血流は増加しており,形態と機能の不一致に興味が持たれた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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