日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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膵管癒合不全症例における膵管像の検討
渋谷 隆斎藤 清二稲土 修嗣野尻 裕之東 貢若林 泰文坂東 毅本間 保田中 三千雄佐々木 博
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1984 年 26 巻 8 号 p. 1278-1284

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抄録
 著者らの経験した膵管癒合不全10例について,主として膵管造影所見を中心に検討し以下の結論を得た.(1)膵管癒合不全の頻度は内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)335例中10例3.0%であり,これは従来本邦で報告されてきた出現頻度に比べると最も高いものであった.(2)膵管癒合不全の診断に不可欠である副乳頭からの背側膵造影は9例に試み全例成功した.(3)膵管癒合不全症例には高率に腹痛などの膵炎類似症状を認めた.(4)膵管癒合不全症例においては腹側膵管の走向・大きさにはかなりのバリエーションがあった.(5)膵管造影上慢性膵炎と考えられた3症例について,慢性膵炎の原因としては膵管癒合不全以外の要因も考慮された.(6)純粋な慢性背側膵炎は自験例中にはなく,また背側膵管に変化を認める症例では腹側膵管にも変化を認めた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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