日本消化器内視鏡学会雑誌
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十二指腸潰瘍の治癒・再発とヒスタミン受容体拮抗剤による治療に関する検討
竜田 正晴飯石 浩康奥田 茂
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1984 年 26 巻 8 号 p. 1285-1293

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抄録
 内視鏡を用い十二指腸潰瘍の治癒,再発に対する酸分泌,酸分泌領域,年齢および喫煙習慣の影響とヒスタミン受容体拮抗剤(cimetidine)による十二指腸潰瘍の治療について検討した. 十二指腸潰瘍は若年者で,酸分泌領域が広く酸分泌の亢進のみとめられるもの程治癒は遷延し,治癒後も容易に再発することを明らかにし,十二指腸潰瘍の治療には酸分泌を強力に抑制することが重要であることを示した.臨床的には強力な酸分泌抑制作用を有するcimetidineにより十二指腸潰瘍の治癒促進と再発防止が可能で,粘膜防御因子増強剤の併用によりcimetidine内服中止後の再発を抑制し得ることを明らかにした.しかし喫煙習慣の継続はcimetidineの効果を抑制するためcimetidineによる十二指腸潰瘍の治療の際にも禁煙を強く指導することが必要である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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