日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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大量吐血を主訴とした胃好酸球性肉芽腫の1例
黒沢 光俊長嶋 知明池 薫奥山 修児柴田 好武藤: 英二武田 章三神田 誠鈴木 安名水島 和雄
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1984 年 26 巻 8 号 p. 1314-1318_1

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抄録
 症例は49歳の主婦で,吐血を主訴として入院した.緊急内視鏡検査で胃穹窿部に径5cm大の凹凸不整な粘膜下腫瘍様の隆起性病変を認めた.その表面に不整形の潰瘍が多発していた.潰瘍の辺縁より生検し,検索したところ,正常粘膜と変性を伴う細胞反応および結合織性の壊死組織の所見を得た.胃X線検査でも胃穹窿部に不整形の潰瘍を伴う隆起性病変を認めた.血管造影を行ったが,質的診断に至らないまま再吐血したため手術を施行した.その摘出標本の病理組織学的所見から非寄生虫性の好酸球性肉芽腫と診断した.胃の好酸球性肉芽腫で本症例のように穹窿部に発生し,しかも大量の出血をきたした例は非常に稀なので文献的考察を加えて報告した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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