日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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内視鏡所見の変化よりみた食道静脈瘤硬化剤注入療法の評価
川田 裕一中田 一也芳賀 駿介熊沢 健一小豆畑 博清水 忠夫矢川 裕一菊池 友允小川 健治梶原 啓郎榊原 宣市岡 四象
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1984 年 26 巻 9 号 p. 1474-1480

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抄録
 1980年12月から1983年9月までに,5%Ethanolamine Oleateを静脈瘤内に注入する硬化剤注入療法により,53例の食道静脈瘤症例を治療した.このうち25例を対象に,本療法施行前と施行後1年における食道静脈瘤の内視鏡所見を,食道静脈瘤内視鏡所見記載基準の各判定因子別に比較検討した.その結果,形態をあらわすF-numberの減少80.0%,基本色調のC,からCwへの変化46.7%,占居部位の縮小32.0%,発赤所見の陰性化73.6%,ミミズ腫れ様所見の消失・減少100%,Cherry-red spot様所見の消失・減少75.0%,血マメ様発赤所見の消失100%を確認した.数量化理論II 類を用いた解析では,硬化剤注入療法施行前に出血が予側された症例のうち,92.9%が本療法施行後には非出血と予測されるようになった.硬化剤注入法による内視鏡所見の変化を検討することにより,本療法の有効性が明らかとなった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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