日本消化器内視鏡学会雑誌
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胆道鏡下截石法における治療成績向上のための基礎的,臨床的研究
山崎 義和
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1985 年 27 巻 1 号 p. 27-43

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抄録
 胆道鏡下截石の問題点は,大結石や嵌頓結石の砕石および狭窄胆管への胆道鏡挿入の困難さにある.そこで結石を砕く手段にNd:YAGレーザーを,狭窄胆管の拡張に高周波メスとレーザーを応用し,その基礎的検討および臨床的検討を行なった.レーザーの砕石効果をみるため,生食水灌流下ビーカー内,照射距離5mmの条件で50,70,90Wの出力で結石に対し各々0.2,0.5,0.8,1.0秒間照射.また犬総胆管を使い胆管壁への損傷度を検討,ビリルビン系石では70W,0.5秒の反復が,コレステロール系石では70~80W,2秒の反復が安全かつ有効な照射条件であった.次に狭窄胆管に対する切開深度の検討に手術摘出肝を含む16例に左第1分枝附近の胆管周囲の組織学的検討を行なった.胆管内壁より血管までの距離は平均1.2±0.7mmで,狭窄切開は1mm以内の深度が安全であると結論した.以上を臨床に応用,胆道結石の完全截石率は47例中31例(66.0%)から42例中40例(95.2%)と著明に向上した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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