日本消化器内視鏡学会雑誌
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粘膜内への内視鏡的点墨法の意義と確立のための基礎的研究
渋木 諭山家 泰菅原 伸之浅木 茂後藤 由夫伊東 正一郎望月 福治
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1985 年 27 巻 1 号 p. 71-77

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抄録
 胃内視鏡像と切除の肉眼像や組織像との詳細な対比や病態生理の問題解明のために,胃粘膜に「点」の指標を自由舳に設定できる新しい点墨法を考案した.点墨後に,胃切除を行った胃癌93例と経過観察を行っている胃びらん1例の計94例を対象とし,満足できる点墨を行うための基礎的検討を行った. 注射筒は1mlのプラスチック製ディスポーザブル註入色素は消毒滅菌墨汁原液,内視鏡用注射針は針が先端部から1.5mm突出するように改良したもの,1回注入量は0.01mlが適していた. 点墨部は,内視鏡ばかりでなく,切除胃の肉眼でも黒い「点」として認められた.黒点は,組織標本内では,粘膜固有層内に限局した黒色顆粒の集合像としてみられた.また,「黒点」は1年9カ月経ても明瞭に残存していた. 本法は安全性が高く,簡便で容易に操作でき,長期間残存する「点」の指標を自由に胃粘膜内に設定することが可能であり,内視鏡診断や病態生理などの諸問題を解決するのに有用と考える.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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