日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡下肝生検時の出血に対するgelfoam止血法
樫村 博正三田村 圭二中原 朗井廻 道夫松崎 靖司松木 康彦山口 高史正田 純一福富 久之大菅 俊明崎田 隆夫
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1985 年 27 巻 1 号 p. 85-90_1

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抄録
 腹腔鏡下肝生椥こ伴ってみられる偶発症として出血・胆汁性腹膜炎は頻度も高く重篤である.これら肝生検時の出血・胆汁漏出を防止する目的でgelfoamによる止血法を腹腔鏡下肝生検後の止血に応用した. 腹腔鏡下肝生検を施行した69症例のうち49症例に対しgelfoambによる止血を,残り20症例に対しては触診ゾンデによる圧迫止血を試みた.両群において,止血に要する時間,止血効果,生検前後の肝機能検査,画像診断等を比較検討した. gelfoam止血法は止血効果に優れ,髄に要する時間を著明に短糸宿することができた.しかし,生検後に腹痛・発熱・白血球増多,CRPの陽性化,肝内占処性病変の出現等の副作用を高頻度に認めた.これらは過剰なgelfoamの注入に起因する可能性が高く,注入量を必要最小限度にすることによりに軽減させることが出来た. 本法は迅速かつ容易であり,進行した肝硬変症例においても生検後の硬実な止血が可能であり,腹腔鏡下肝生検の適応範囲を拡大することができる.
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