日本消化器内視鏡学会雑誌
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高周波電気メスによる内視鏡的切開術を行った下部食道Webの1例
小山 茂樹木津 稔高田 洋細田 四郎
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1985 年 27 巻 1 号 p. 99-103_1

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抄録
 比較的まれな疾患である下部食道Web症例に対して内視鏡的切開術を行ない,狭窄部の拡大と自覚症状の完全消失を得た. 症例は47歳男性で,37歳頃より固形物摂取時に嚥下障害があった.42歳時,嚥下困難を主訴に当院を受診し,上部消化管透視・食道内視鏡・生検組織にて下部食道Webと診断された.それ以後,定期的に外来経過観察されていた.最近,嚥下困難の増悪と狭窄の進展を認めたため,内視鏡下にオリンパス製ヘラ型メスを用いた高周波切開術を施行した.術後合併症なく経過し,狭窄部は面積比で約2倍の拡大を認め,自覚症状の完全な消失を得た. 下部食道Webの治療は,嚥下困難症例に対し,外科的切除術・ブジー拡張術・Endoscopic removal of Webなどがなされているが,それぞれになんらかの問題点が指摘されている.粘膜固有層肥厚である下部食道Wedに対するヘラ型メスによる内視鏡的高周波切開術は,簡便かつ安全で確実性があり,術後再狭窄の可能性の少ない方法と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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