抄録
Diffuse eosinophilic gastroenteritisは,比較的稀な疾患で1983年末までに欧米で120例,本邦では21例が報告されているにすぎない. 症例は50歳男性で,主訴は腹部膨満感である.末梢血好酸球増加はなかったが,IgEは高値を示し,鉄欠乏性貧血と低蛋白血症を認めた.上部消化管透視で,胃穹窿部から体下部まで全周性に壁の不整,硬化がみられ,内視鏡所見では著明な皺襞の肥大,蛇行と不整潰瘍が認められた.生検からは質診断が得られず手術となったが,手術所見では胃は周辺臓器と一部癒着がみられ,多数の所属リンパ節が腫脹していた.組織学的には粘膜下層を中心に全層性にびまん性好酸球浸潤,粘膜下層に水腫像と一部肉芽腫様変化がみられた.本例のようにほぼ全胃におよぶ病変を有し,肉芽腫様変化の強かった症例は非常に稀であり,Churg & Straussらのallergic granulomatosisに該当すると思われる.