1985 年 27 巻 11 号 p. 2352-2356_1
症例は70歳男性.水様下痢,血便で来院.注腸造影,大腸内視鏡検査で直腸から回盲部にかけ連続して浮腫状の脳回状様隆起とOozing様出血を認めた.本例は入院後次第に未梢血液像に異常リンパ球が出現し,左鼠径部リンパ節生検組織像とリンパ球の表面マーカー,および抗ATLA抗体陽性からATLLと診断し,剖検で腫瘍細胞が大腸粘膜に浸潤していることを確認した.また,本例では血小板減少症,M蛋白血症を合併していた.ATLLの大腸病変についての報告は少なく,内視鏡所見を中心に本邦報告例を含め文献的考察を加えた