日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡下肝生検後のフィブリン糊注入止血法
安藤 秀樹渡辺 文時宮崎 寛大越 裕文尾泉 博韓 南奎嵐山 恭志西山 正輝藤田 由美子高橋 弘清水 能一出浦 正倫相沢 良夫銭谷 幹男伊坪 真理子飛鳥 田一朗亀田 治男稲田 省三小林 進桜井 健司
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1985 年 27 巻 12 号 p. 2753-2758_1

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抄録
 腹腔鏡下肝生検後の止血法として,フィブリン糊を生検部位に充填し止血するフィブリン糊注入止血法を開発し,止血効果の検討を行なった.フィブリン糊は,ヒトフィブリノーゲン溶液と,ヒトトロンビン,塩化カルシウム,アプロチニンを含む溶液を等量混合し調製した.Tru-Cut針を用いて肝生検後,留置してある外套針よりフィブリン糊を注入しつつ外套針を抜去し,止血操作を終了した.本法を試みた32例の検討では,本法の使用により,止血操作時間は約1分と従来の留置止血法に比し大巾に短縮し,術後出血例もなく,止血効果も確実であることが示された.また,本法の施行により重篤な副作用は認められず,今後,腫瘍性疾患など,生検後の止血が危惧される症例への応用が可能であることが明らかとなった.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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