日本消化器内視鏡学会雑誌
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十二指腸メラノーシスの1例一組織化学的・電顕的研究並びに電子X線プローブ分析一
王 康義酒井 正彦内野 治人三宅 健夫戸田 憲一翠川 修
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1985 年 27 巻 3 号 p. 401-407_1

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抄録
 82歳女性の十二指腸メラノーシスの1例を経験した.球後部にみられた点状黒色色素沈着は,1年後には球部にも認め,肉眼的に著しく増加し豹紋状を呈した.生検にて色素は主に十二指腸絨毛部粘膜固有層のマクロファージに含まれ,一部間質にも認めた.組織化学的には,Masson-Fontana染色陽1生,鉄反応陰性で,過酸化水素で還元され,メラニンに近い性格を有していた.電顕では,マクロファージのlysosomeに含まれる円形・多角形等を呈する物質で,電子プローブX線分析にてFe,Sと微量のCaを証明し,FeとSは1:1の原子比で含有することがわかり,メラニンは否定された.Prussian blue及びTurnbull blueの両鉄反応は陰性であり,FeSそのものでなく,鉄硫黄蛋白質と考えられた.成因として,胃粘膜よりの出血が少なくとも関与していると考えられた.さらに,ベンゼン環を含む常用薬の関与も推測された.
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