日本消化器内視鏡学会雑誌
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27 巻, 3 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 谷口 徹志
    1985 年27 巻3 号 p. 303-315
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道癌術前合併療法の内視鏡的効果判定に関して,放射線を主体とした術前合併療法後切除された胸部食道癌173例を対象に,1)効果判定基準の設定,2)適切な効果判定時期における効果判定と組織学的効果の検討,3)合併療法前における効果予測について検討した.内視鏡的効果判定基準は著効,有効,改善,無効の4段階に分類した.この基準を用いた判定時期は合併療法後の内視鏡像の推移より,手術直前2~3日が適切であり,この効果判定と組織学的効果は有意の相関がみられた.効果予測は主病巣の内視鏡像より,立ち上がり形態を4型に,癌露出程度をルゴール散布法を応用して4型に,口側への伸び方を3型に分類し検討した.項目別各型のEf分布より多変量解析を用いて組織学的効果に対する寄与指数を算出した.各項目の指数の合計をその症例の効果予測指数とすると,最近の術前合併療法であるTDF50以上他剤併用症例ではEf1であった症例は-0.180±0.303,Ef2は-0.010±0.291,Ef3は0.183±0.142で示され,以後の症例もこの指数と良く相関した.
  • Chaur Shine Wang
    1985 年27 巻3 号 p. 316-325
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    In our analysis of the diagnostic result of ERIC in intrahepatic stone, it revealed that 74 among 93 patients with intrahepatic stone were correctly diagnosed by ERIC. On the other hand, 6 among 232 patients of non-intrahepatic stone were incorrectly diagnosed as intrahepatic stone by ERIC. As a result, the diagnostic sensitivity, specificity and accuracy of ERIC in intrahepatic stone were assessed to be 79.6%, 97.4% and 92.3% respectively. The ERIC would clearly show out the entire biliary tract, local stenosis, and location and size of stone. Preoperatively, it is one of the most useful and effective methods in accurate diagnosis on both intrahepatic stone and its associated abnormalities of biliary tree. Comparing the sensitivity, specificity and accuracy among ERIC, IVRC and US, we find that: (a) both sensitivity and accuracy are the best in US, (b) the specificity shows no significant difference among ERIC, IVRC and US. Although US is the most sensitive diagnostic procedure for intrahepatic stone, the local stenosis of bile duct and spetial relationship between stone and entire biliary tree are unable to be clearly demonstrated by US. Therefore, preoperatively, a direct cholangiography by ERIC or PTC is further necessary for obtaining a better surgical result. IVRC is also effective in diagnosis of intrahepatic stone. However, because of having two dis-advantages of limited anatomic resolution and non-efficiency in detecting extrahepatic stone, the usefulness of IVRC in common practice has largely been reduced.
  • 藤倉 信一郎
    1985 年27 巻3 号 p. 326-336
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     既報の「終末回腸のPeyer板に関する研究一第1報:内視鏡検査例および剖検例における粘膜表面形態および組織学的検討―」において,剖検例のPeyer板を,その粘膜表面形態および組織像から,「リンパ濾胞型(Lymph Follicle Type, LF型)」と「リンパ球集簇型(Lymphocyte Aggregation Type, LA型)」の2型に分類し,また生体下の内視鏡像からはLF型とLA型の中間に「境界型(Border Type, B型)」を設けて,計3型に分類した. 本稿においては,正常の内視鏡検査例および剖検例における終末回腸のPeyer板の出現率,型,性および年齢の状態について臨床統計学的に検討した.その結果,ほぼ全例の終末回腸にPeyer板が観察され,その内訳はLA型がLF型よりも高率であり,B型が最も低率であった. Peyer板の出現率,各型Peyer板の比率および平均年齢については,男女間に有意差を認めなかった.また,各型Peyer板の年齢分布の推移をみると,LF型Peyer板は10歳台に最も高率に分布し,その後は加齢とともに漸減した.一方,LA型Peyer板は,新生児期には高率に出現するが,10歳台に最低となり,その後は再び加齢とともに漸増した.B型Peyer板は20歳台から40歳台において分布し,幼年者,高齢者ではまれであった. 以上の成績とPeyer板の組織像とを併せて考察すると,新生児期のLA型Peyer板は腸管リンパ系組織(Gut-Associated Lymphatic Tissue, GALT)としての機能は未熟であり,幼年期に成熟してLF型Peyer板となる.その後は思春期を過ぎた頃から加齢とともに萎縮性変化を起こし,B型Peyer板を経てLA型Peyer板になると推測された.
  • 山村 光久, 藤田 力也, 藤田 安幸
    1985 年27 巻3 号 p. 337-343
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     内視鏡的乳頭括約筋切開術(ESTと略)の際のprecutやERCPの補助手段としてニードル型のパピロトームを利用し,乳頭口側隆起を十二指腸内腔側から切開する方法を試み,良好な成績を得たので報告する.使用したニードル型バピロトーム(ニードルナイフ)は,使い古された市販のパピロトームを先端で切断作製した簡単なものである.対象は25例(総胆管結石17働,この中にBillroth II法切除胃例1例を含む,経乳頭的ドレナージの前処置として行なわれたもの6例,診断的EST2例)で,24例に成功した(成功率96.0%).早期合併症としては,穿孔1例,急性膵炎2例の計3例(12.0%)があり,通常のパピロトームを使用した群の8.7%に比しやや高い傾向にあった.しかし,この方法は,乳頭の口側隆起の最高部中央を切開するという,比較的容易な手技であり,手技に習熟すれば安全かつ有用な補助的手技と考えられる.
  • 佐竹 儀治, 高橋 寛, 山村 光久, 藤田 力也, 岡本 平次
    1985 年27 巻3 号 p. 344-350_1
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     22例の抗生物質起因性の薬剤性出血性大腸炎と11例の虚血性大腸炎とを,それぞれ発症後72時間以内に内視鏡的に比較検討した.同時に生検を行ない,病理組織学的検討も併せ行なった.両疾患の全例に出血性粘膜が観察されたが,薬剤性出血性大腸炎では,全病変部が一様の出血性粘膜で占められるのに対して,虚血性大腸炎11例中9例(82%)では,出血性粘膜の他に,病変の一部に粘膜の褪色や潰瘍からなる壊死性変化が観察された. 生検材料を用いた病理組織学的検討によっても,薬剤性出血性大腸炎の主病変は,粘膜固有層における出血であったが,虚血性大腸炎では,病変の最も強い部分から採取された生検標本11例中9例(82%)に,典型的な粘膜壊死の所見がみとめられた.以上の結果より,両疾患の発症機序はそれぞれに相異なっており,虚血性大腸炎では血行障害による粘膜の壊死が考えられ,一方薬剤性出血性大腸炎では,毛細血管の破綻によって,粘膜内出血が起るものと考えられた.
  • Fernando Cordeiro, Maria Angelina Miranda, Hugo Faria, Francisco Marce ...
    1985 年27 巻3 号 p. 351-353
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    The authors present six cases of gastric adenocarcinoma in patients under the age of 30. They draw attention to the problem, pointing out that carcinoma of the stomach should be considered even in young patients presenting with upper abdominal distress.
  • 吉井 由利, 春日井 達造, 中村 多美夫
    1985 年27 巻3 号 p. 354-361
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     最近オリンパスで開発された内視鏡洗滌消毒装置(EW-10)を使用して消毒効果を検討した.上部消化管内視鏡検査に防水スコープGIF-XP10とJF-10を使用し,装置の水洗工程(5分),消毒工程(22分)及びかんセンター方式の手洗い(3分)の三方法につき消毒効果を細菌学的に比較した.菌数算定により102個/ml未満を無菌と見做し消毒効果を比較すると,GIF-XP10を用いた場合消毒工程6件と手洗い12件はすべて無菌であり,水洗工程のみでも12件中11件が無菌で,直視型スコープでは消毒効果か優れていた,JF-10て.は消毒工程のみ4件すべて無菌で,他の方法では消毒効果か劣った, 以上よりEW-10の消毒工程の消毒効果は,内視鏡の機種に関係なく極めて優れていた.直視型スコーアでは手洗い法で充分な消毒効果を認め,時間と費用の面で合理的と考える.
  • 加藤 善久, 久我 治子, 原田 尚
    1985 年27 巻3 号 p. 362-368_1
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     上部消化管内視鏡検査の施行中に,胃の長軸に沿った縦長の発赤線条を,従来よりしばしば認めてきたが,人工的に形成された所見かも知れぬという危惧を抱いていた.しかし最近,急性胃炎様症状を呈した若年例で,この発赤線条上に一致して,明らかな組織欠損である線状びらんを呈する症例を経験した.そこで発赤線条そのものが,急性胃病変と関連性を有するのではないかと考え,retrospectiveに検討した.その結果発赤線条のうちの相当数が,急性胃病変に関連する内視鏡的一徴候であることが推定された.
  • 岩下 エリーザ裕子, 森下 鉄夫, 三浦 総一郎, 吉田 リカルド, 浜田 慶城, 宗像 良雄, 朝倉 均, 土屋 雅春
    1985 年27 巻3 号 p. 371-380_1
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     Olympus社製GIF P2,P3,またはJFB3を用い,十二指腸下行脚まで観察した1,813例中17例に十二指腸下行脚びらんを確認した.性別では男性が半数以上(76%)で,年齢は50歳代をピークとしており,症状では腹痛が多く,吐・下血をきたした症例もあった. 内視鏡所見では斑状びらんが最も多いが,びらんや浮腫の程度,出血の有無について組織学的所見と比較すると両者の問にはある程度の相関がみられた.十二指腸下行脚びらんは十二指腸球部に潰瘍やびらん性病変が存在する例に必ずしも高頻度に合併しなかった.全例に併存疾患がみられ,特に高頻度に合併したのは肝疾患であり,中でも肝硬変が最も多かった.また,合併する肝疾患が重症の症例ほどびらんの程度も強い傾向を認めた.つづいて,糖尿病,腎機能障害,胆石症,脳血管障害などが多く遭遇する合併症であり,また,心筋硬塞,クローン病,PSSなども各1例にみられた.また,抗癌剤,ステロイドや消炎鎮痛剤使用中の例もあり,これら合併疾患や薬剤のびらん発生との関連性が示唆された.
  • 高原 照美, 田中 三千雄, 舟木 淳, 井田 一夫, 坂東 毅, 稲土 修嗣, 若林 泰文, 渋谷 隆, 野尻 裕之, 島田 一彦, 藤倉 ...
    1985 年27 巻3 号 p. 381-388_1
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     :食道平滑筋腫は比較的稀な疾患とされているが,近年の診断技術の進歩によりその報告も増えてきている.今回われわれは微小平滑筋腫の2例を経験したので報告する.症例1は34歳,男性.主訴は咽頭つっかえ感.内視鏡にて下部食道に可動性のある山田II型の隆起を認め,これに対し内視鏡的ポリペクトミーを行った.摘出標本は7×5×5mmであった.症例2は56歳,男性.主訴は特になし.人間ドックで精査を指示された.内視鏡下では,上部食道に山田1型の隆起を認め,これを内視鏡的にポリペクトミーした.10×5×5mmであった.両症例とも微小な隆起性病変でありスネア鉗子をかけることができなかったが,症例1では粘膜を除去することにより,症例2では隆起基部にクビレを作ることにより高周波電流を使用せずに切除回収することができた.これまでに内視鏡的ポリペクトミーされた食道平滑筋腫は自験例を含め37例報告されており,近年微小なものの報告がみられる.今後このような微小な平滑筋腫の切除の工夫が必要と思われた.
  • 星加 和徳, 長崎 貞臣, 宮島 宣夫, 内田 純一, 木原 彊
    1985 年27 巻3 号 p. 389-393
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     食道乳頭腫の2例を経験した.症例1は,78歳男性で,心窩部不快感を主訴として来院した.上部消化管造影にて中部食道に直径8mm大の隆起性病変を認め,内視鏡検査にては,門歯列より25cmの食道左壁に山田III型の乳頭状隆起性病変を認めた.食道ポリペクトミーにて摘出した標本は,8×8×8mm大の乳頭状腫瘤で,組織学的所見は乳頭腫であった.なお,十二指腸潰瘍を合併していた.症例2は,41歳男性で,主訴はなく,十二指腸潰瘍にて治療中に,上部消化管内視鏡検査にて,門歯列より40cmの食道右壁に5mm大の山田III型の隆起性病変を認めた.上部消化管造影にても下部食道に隆起性病変を認めた.食道ポリペクトミーにて摘出した標本は,5×1×3mm大の乳頭状腫瘤で,組織学的所見は乳頭腫であった.
  • 大石 享, 丸山 恭平, 岡野 均, 佐藤 達之, 西田 博, 依岡 省三, 福田 新一郎, 布施 好信, 内藤 英二, 児玉 正, 加嶋 ...
    1985 年27 巻3 号 p. 394-398_1
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     近年の胃X線及び内視鏡検査法の進歩に伴い,Double Pylorusの報告例が増加してきているが,その形成までの経過を追跡しえた症例は少ない.われわれは胃幽門前部潰瘍の経過観察中にDouble Pylorusを形成した症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 王 康義, 酒井 正彦, 内野 治人, 三宅 健夫, 戸田 憲一, 翠川 修
    1985 年27 巻3 号 p. 401-407_1
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     82歳女性の十二指腸メラノーシスの1例を経験した.球後部にみられた点状黒色色素沈着は,1年後には球部にも認め,肉眼的に著しく増加し豹紋状を呈した.生検にて色素は主に十二指腸絨毛部粘膜固有層のマクロファージに含まれ,一部間質にも認めた.組織化学的には,Masson-Fontana染色陽1生,鉄反応陰性で,過酸化水素で還元され,メラニンに近い性格を有していた.電顕では,マクロファージのlysosomeに含まれる円形・多角形等を呈する物質で,電子プローブX線分析にてFe,Sと微量のCaを証明し,FeとSは1:1の原子比で含有することがわかり,メラニンは否定された.Prussian blue及びTurnbull blueの両鉄反応は陰性であり,FeSそのものでなく,鉄硫黄蛋白質と考えられた.成因として,胃粘膜よりの出血が少なくとも関与していると考えられた.さらに,ベンゼン環を含む常用薬の関与も推測された.
  • 佐藤 勝久, 田端 康仁, 乾 秀, 浦井 利雄, 大原 秀一, 佐藤 寛, 浅木 茂
    1985 年27 巻3 号 p. 408-412_1
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
     大腸脂肪腫は本邦では従来比較的稀とされてきたが近年その報告例は増加し100例を越えている,しかしその発生部位で回盲弁より発生したとされるものは数例のみである.今回著者らは,回盲弁に発生した粘膜下脂肪腫の1例を経験したので報告する.症例は56歳男性,臍周囲部痛及び腫瘤を触知し来院.注腸造影にて回盲部に腫瘤様陰影を認め精査のため入院となった,既往歴,家族歴に特記すべにことなし.入院時現症では右下腹部に鳶卵大の可動性のある表面平滑の腫瘤を触知した.入院時検査成績には異常を認めなかった,注腸造影像では回盲部に辺縁平滑な陰影欠損像を認め,圧迫で変形し易い山田III型隆起であった.内視鏡像では充実性の腫瘤で近接でやや黄色調の半球状の隆起を認めた.回盲部切除術を行なった.大きさは5.0×4.5×4.0cmで正常粘膜に被われ,組織学的には粘膜下に発育した脂肪腫であった.
  • 日本消化器内視鏡学会
    1985 年27 巻3 号 p. 415-416
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1985 年27 巻3 号 p. 416-420
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 日本消化器内視鏡学会
    1985 年27 巻3 号 p. 420-426
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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