日本消化器内視鏡学会雑誌
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幽門狭窄を来たした胃クローン病の1例
王 康義酒井 正彦内野 治人井上 良一三宅 健夫京極 高久永井 利博小沢 和恵
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1985 年 27 巻 4 号 p. 523-528_1

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抄録
 胃クローン病の1例を文献的考察を加え報告した.いわゆる微細病変を除いた胃・十二指腸クローン病の本邦5例目である. 患者は20歳男性.併存する大腸クローン病変はprednisoloneとsalicylazosulfapyridineにより瘢痕化したが,胃幽門部病変は進行し,約1年間頑固な嘔吐と体重減少を認めた.胃内視鏡検査では,幽門前部に認めた結節状隆起が,1年後には縦走潰瘍を伴うようになり,同部よりの生検にて肉芽腫を認めた.胃X線検査にても,幽門前部の短い狭小像が,1年後には全周性の小隆起により幽門輪に向かう漏斗状の狭窄となり"ram's horn"signを呈し,潰瘍及び裂溝も認めた.幽門狭窄症状が改善せず,胃部分切除を施行した.幽門前部は粘膜下層の浮腫が著明で,裂溝を認め,巨細胞を伴う肉芽腫も多数認めた.術後10カ月間prednisolone等服用せず経過良好で,術前より11kg体重増加を認めた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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