日本消化器内視鏡学会雑誌
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下咽頭,頸部食道病変の内視鏡的検討―観察時の工夫と下咽頭癌におけるweb共存の病因的意義―
戸倉 康之大石 俊明鈴木 敏生遠藤 隆青木 克憲馬場 正三阪口 周吉野末 道彦
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1985 年 27 巻 6 号 p. 955-962

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抄録
 下咽頭頸部食道の内視鏡観察は,同部の解剖ならびに生理的特性などにより難しいとされてきた.最近5年9カ月にpanendoscopeを用い,1,307例の同部観察を行い,43例(3.3%)の病変ないし異常を経験した.本研究ではこれらをretrospectiveに検討し,同部における内視鏡観察の2,3の問題点を述べ,合わせて興味ある症例を提示した.良性病変は,16例で,webが6例ともっとも多かった.一方,悪性は27例で,下咽頭癌が,19例ともっとも多かった.webの6例中4例に下咽頭癌の併存をみた.しかしながら,本研究では照射例のためか両者の直接的な因果関係を示唆する根拠はえられなかった.また,下咽頭癌の19例中3例に,食道,胃の同時性重複癌を認めた.以上より,同部の観察にあたっては,胸部腹部食道,胃など他部位の注意深い観察,さらには,同部良性病変の定期的フォローアップの必要性を強調した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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