抄録
われわれは肝癌の初期像を追及する過程において,腹腔鏡検査でのみ診断可能な直径2~3mmの肝癌(mm肝癌)を経験し,その後の臨床経過(剖検を含む)を観察し得たので報告する.症例は42歳の男性で,HBs抗原陽性の非代償性肝硬変症例である.発病から4年後の腹腔鏡検査において,肝は島田の番地分類530.2eの結節肝であり,右葉中央胆のうの右上方に周辺の肝硬変結節とほぼ同大で直径2~3mmの黄色小結節を認め,目標生検にてmm肝癌と診断した.組織型はclearcelltypeの肝癌であった.同様の小結節は左葉にも2個認められた.さらに,肝右葉胆のう奥に直径約1cmの肝硬変結節が観察された.その後,化学療法,マイクロ波凝固を行ない経過観察中,肝癌破裂による腹腔内出血で初回腹腔鏡検査から1年8カ月後に死亡.肝癌は亜鶏卵人で破裂部位は胆のう奥にみられた直径約1cmの結節から発育したものであった.