日本消化器内視鏡学会雑誌
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慢性膵炎における内視鏡的膵管ドレナージ法の臨床的研究
天野 秀雄
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1986 年 28 巻 8 号 p. 1763-1775

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抄録

 慢性膵炎の新しい治療法をめざして,ビマン型慢性膵炎15例に膵液ドレナージの改善を目的とした内視鏡的膵管ドレナージ法を施行した.内視鏡的ドレナージ法は膵管口切開術ならびに付加手技として膵石のバスケット排石と膵管endoprosthesisからなるが,12例に満足のいく人工膵管口を得ることができ,2例に膵石のバスケット排石,3例にendoprosthesisの留置に成功した.その結果,内視鏡的膵管ドレナージ法により10例(83.3%)に臨床症状の改善を認め,膵外分泌機能にも改善傾向を認めた.本法による重篤な合併症はまだ1例も経験していないが,さらに新鮮剖検標本を用いて膵管口切開術の安全性を確認した.以上の検討から,本法は慢性膵炎の新しい非観血的治療法として高く評価できた.

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