日本消化器内視鏡学会雑誌
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腹腔鏡にて確診しえた先天性胆嚢欠損症の1例
宮崎 光一鍋島 一雄山田 昌信小林 道生浜口 浩一村山 卓高瀬 幸次郎為田 靱彦岩田 次郎中野 赳小坂 義種
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1987 年 29 巻 10 号 p. 2263-2271

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抄録
先天性胆嚢欠損症は比較的まれな疾患であり,診断が困難であったが,近年の画像診断の進歩によって内科的に診断することが可能となってきた.われわれは種々の画像診断にて胆嚢欠損症を疑い,腹腔鏡にて確診しえた1例を経験したので文献的考察を加えて報告した.症例は21歳,女性.腹痛を主訴として来院,腹部超音波検査,computed tomographic scanにて胆嚢は同定されず,さらに経静脈的胆道造影,内視鏡的膵胆管造影にて胆嚢および胆嚢管は造影されなかった.その他の胆道系には著変を認めなかった.腹部血管撮影では,胆嚢動脈は認められず,先天性胆嚢欠損症が疑われた.確定診断のため,腹腔鏡を施行したところ,肝床に胆嚢あるいは胆嚢の痕跡と思われるものはなく,加えて肝鎌状靱帯欠損および肝分葉異常が認められた.腹腔鏡にて本症を診断した報告は少ないが,本症の診断には有用な手段であると思われた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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