日本消化器内視鏡学会雑誌
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縦走潰瘍を形成した薬剤性腸炎の7例の検討
林 繁和中村 常哉土田 健史佐竹 立成
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1987 年 29 巻 11 号 p. 2532-2536_1

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抄録
大腸内視鏡検査で縦走潰瘍を認めた薬剤性腸炎7例を報告した.男女比5:2,平均年齢は41.6歳,ほとんどの例で血性下痢と腹痛があり,抗生剤は5例は感冒のために投与され,全例経口的に,3例はセフェム系,2例は合成ペニシリン,2例はセフェム系と合成ペニシリンの併用であった.3例は約1カ月前の服用であるが,4例はほぼ服用中に発症した.罹患部位は5例はS状結腸から下行結腸に,2例は深部大腸に見られ,うち1例は終末回腸までみられた.6例中5例は白血球増多,CRP陽性を示し,便培養は全例病原菌陰性,Clostridium difficileの毒素は検索した3例中1例陽性であった.薬剤性腸炎のうち偽膜の形成のみられない出血性腸炎は一般臨床症状などは一過性型虚血性大腸炎に酷似し,内視鏡的にも虚血性大腸炎に酷似した縦走潰瘍を呈する例もまれならず存在し,出血性腸炎の病態に腸管虚血の関与が示唆された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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