日本消化器内視鏡学会雑誌
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Campylobacter腸炎の大腸内視鏡像の検討
林 繁和江崎 正則山田 昌弘土田 健史佐竹 立成吉井 才司
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1987 年 29 巻 5 号 p. 912-919

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抄録
 最近5年間に糞便培養でCampylobacter jejuni/coliを検出した患者は140名(小児科を除く)でこのうち大腸内視鏡検査を施行した27例について内視鏡像を中心に検討した.男16例女11例で,年齢は14歳~74歳,平均33.4歳,症状は下痢25例,血便18例,腹痛21例,発熱5例,嘔吐4例であった.27例中26例に発赤,出血,ビランなどの所見がみられ,びまん性病変は7例(25.9%),縦走性4例(14.8%),アフタ様病変5例(18.5%)であった.潰瘍性病変は7例(25.9%)でいずれもバウヒン弁上に存在し,回盲部まで観察した9例中7例77.7%と高率に見られた.直腸S状結腸は27例中26例に病変がみられ,全大腸を観察した9例中7例は大腸全域に病変がみられた.生検組織所見では,陰窩膿瘍は45.8%に見られ,50%は高度の炎症所見を認めた.本症の内視鏡像は多彩で潰瘍性大腸炎,他の感染性腸炎,時に薬剤性腸炎や虚血性腸炎と鑑別困難なことがあるが,バウヒン弁上の潰瘍はCampylobacter腸炎に特徴的な所見と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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