日本消化器内視鏡学会雑誌
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傍乳頭憩室の臨床的検討
―膵胆道疾患およびESTに与える影響について―
秋山 哲司富士 匡足立 佳世子佐々木 敏行田中 慎也播磨 健三中田 和孝大村 良介野口 隆義天野 秀雄相部 剛竹本 忠良
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1987 年 29 巻 7 号 p. 1465-1471_1

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抄録

昭和53年から昭和60年まで山口大学第1内科において施行された,ERCP症例1,225例と内視鏡的乳頭括約筋切開術(以下EST)症例254例のうち,傍乳頭憩室を合併したものについて臨床的検討を加えた. その結果,ERCP1,225例中176例(14.4%)に傍乳頭憩室を認め,とくに胆管結石および良性乳頭部狭窄に高率で,その多くは乳頭上部に,まれに乳頭下部に存在していた. 傍乳頭憩室合併例におけるESTでは,43例中7例に切開の大きさや方向に制約をうけ,全EST症例中の再発結石5例全例が傍乳頭憩室の合併例であった.傍乳頭憩室合併例ではESTに際し手技的な制約をうけるが,切開方向に細心の注意をはらいながら,できるだけ大きい切開とその後の追加切開が必要であることが示唆された.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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