日本消化器内視鏡学会雑誌
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鑑別診断上,興味ある大腸結核の1例
碓井 芳樹松川 正明山田 聰根来 孝韓 東植吉田 邦夫近藤 健司大橋 泰之白壁 彦夫梁 承茂小沼 一郎
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1988 年 30 巻 11 号 p. 2678-2683

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抄録
48歳の男子が,右下腹部痛と軟便傾向を主訴として来院.大腸X線・内視鏡検査で広範で多彩な潰瘍性病変を散在性に認め,クローン病を疑った.しかし,空洞をもち,痰中に結核菌の排菌をみる活動性肺結核症があり,大腸生検組織でも類上皮細胞肉芽腫を認めたので,続発性大腸結核症と分かった.治療のため清瀬東京病院へ転院としたが,治療3カ月後には,散在性に炎症性ポリープを認めるのみで,瘢痕を残さず,治癒した.なお,結核菌は痰・胃液・便培養の結果,ヒト型であった.はじめ,広範で多彩な病変に目を奪われ,腸結核と診断できなかったが,振り返ってみると結核の大腸病変として,十分合致する所見であった.これは頻度の少ない病態を示した大腸結核症であった.鑑別診断上,興味ある活動期と治癒期のX線・内視鏡所見を示した症例と思われたので報告した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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