抄録
従来高周波電流を用いた内視鏡的ポリペクトミーは禁忌とされてきたペースメーカー槙え込み患者に,内視鏡的大腸ポリペクトミーを無事施行し得たので報告した.症例は57歳女性で,主訴は血便.1985年3月に洞不全症候群のため,体内式ペースメーカー植え込み術を受けた.同年10月排便後出血があり,注腸造影,大腸内視鏡検査で,S状結腸に1.5cm径の分葉状の山田III型ポリープを認めた.ペースメーカーと高周波装置との距離高周波装置の出力に注意すること,モード変更をすることによって内視鏡的大腸ポリペクトミーを無事施行しえた.ペースメーカー植え込み患者においても適応を選択し,十分な術前検討を行えば,内視鏡的ポリペクトミーは可能である.