抄録
従来からの抗潰瘍薬であるコランチル,ウガロン,アルサルミンで治療した対照群81例と各種のH2-blockerで治療したH2-blocker群64例を対象とし,両群での治癒経過を比較検討し,H2-blocker出現後の胃潰瘍の難治化に関与する諸要因の分析を試みた.対照群での治癒遷延化には,年齢,性別,飲酒量,喫煙量および潰瘍の形,大きさ,数,部位など,従来からいわれている要因の関与が考えられたが,H2-blocker群では上記の要因の関与度は少なかった.そこで,3カ月以降に各種薬剤の投与によって治癒した治癒遷延例6例と,いかなる治療によっても治癒しなかった未治癒例7例を比較すると,両者の間に差を認めたのは病悩期間と再発回数のみであった.すなわち,いかなる治療によっても治癒しない真の難治性潰瘍の特徴は,病悩期間が10年以上で,3回以上の再発を認めることであった.