日本消化器内視鏡学会雑誌
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新止血法による腹腔鏡下生検が有用であった細小肝癌の2例
宮本 岳加藤 道夫益沢 学戸川 雅樹鈴木 都男妻野 光則末松 俊彦
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1988 年 30 巻 6 号 p. 1278-1282_1

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抄録

超音波検査で肝に表在性の小腫瘤を発見し,肝癌を疑うも,他の画像診断法(CT,肝シンチ,血管造影)で指摘されず,腹腔鏡下に,新しい生検用止血剤(ゼラチンパウダーにヒトトロンビンとfactorXIIIを固定化した配合止血剤)を使用する腫瘤生検を施行した表在性細小肝癌の2例を経験した.これらはいずれも生検時出血はほとんどなく,生検により肝細胞癌の診断が得られて,外科的切除された.1例は75歳男で1.4×1.3cmの肝右葉前下区域の肝細胞癌で生検後約4年,他の1例は53歳男で1.6×1.6cmの肝左葉外側区域の肝細胞癌で生検後約10カ月,いずれも再発なく生存中であり,臨床的に転移・播種はみられず,新止血法による腹腔鏡下生検が有用と考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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