日本消化器内視鏡学会雑誌
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多極凝固子(6端子双極凝固子)"BICAP"による内視鏡的高周波腫瘍凝固法
岡野 均児玉 正辻 秀治光藤 章二古谷 慎一高升 正彦藤野 博也時田 和彦辰巳 嘉英川本 克久西田 博布施 好信福田 新一郎瀧野 辰郎
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1988 年 30 巻 8 号 p. 1771-1776_1

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抄録
 高周波電気凝固止血装置"BICAP"を上部消化管腫瘍に対する凝固治療に応用し,臨床的検討を行った.対象は早期胃癌4例,ATP5例,過形成性ポリープ6例,食道癌狭窄1例の計16例とした.食道癌では狭窄解除を目的に特別なブジー型プローべを,早期胃癌,ATP,過形成性ポリープに対しては,すでに上部消化管止血に用いられているプローべをそのまま使用した.凝固によって組織が脱落したあとは治療過程での内視鏡観察および生検を行った.早期胃癌例のうち2例は,凝固治療後に外科的切除が施行されたが切除標本における病理組織学的検討では悪性所見は認められなかった.他の2例は,病変部完全凝固治療後最長例は18カ月を経過しているが内視鏡的にも生検にても再発を認めていない.従来のバルーンならびにブジーにて狭窄の解除が困難であった食道癌狭窄例では,特別なブジー型プローべを用いることにより一時的に狭窄の改善を得ることが出来た.本法で使用するプローべは3対の双極凝固子が等間隔に先端のみならず側面にも配置されているため,レーザーでは照射困難な接線方向の病変部への凝固治療も可能であった.またプローべ中央より適時送水可能なため,病変部の洗浄ならびに冷却が可能であり日常の上部消化管の内視鏡検査同様の簡便さで実施できること,機器の操作も容易で安価で持ち運びが可能でベッドサイドでの治療にも有効な方法と考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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